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和歌山・有田川町で伝統行事「久野原の御田」最後の奉納 室町時代からの歴史に幕

「久野原の御田」の舞い

「久野原の御田」の舞い

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 五穀豊穣を祈る伝統行事「久野原の御田(おんだ)」が2月11日、有田川町久野原の岩倉神社で行われ、室町時代から続く歴史に幕を下ろした。

御田に先だって行われたお渡り 神社までの馬場を神楽歌を謡いながら歩く

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 昨年、同町杉野原地区の御田が休止したのに続き、久野原地区の御田も今回が最後の奉納となり、町内の御田は全て休止した。同地区の稲作は鎌倉時代から続き、現在も多くの水田が残る。秋にはあぜ道沿いにヒガンバナが多く咲き、たくさんの写真愛好家が集まる。

 同行事は稲作の過程を演じ、その年の豊作を神仏に祈願するもので、室町時代後期に始まったとされる。全国に伝わる田植えまでの所作を演じる御田と異なり、田起こしから稲刈り、もみ供えまでの全過程をしゅうとが婿に教える様子を表現する。子どもたちが演じる早乙女とともに、座謡衆の歌や掛け合いに応じて無言で演じるなど近隣地区とも相違点がある。1981(昭和56)年に和歌山県無形民俗文化財に指定された。

 しゅうと役を務めた大江聖太郎さん(22)は「子どものころから御田を見ていて、これまで3度太鼓役をさせてもらった。休止になるのは残念だが、伝統ある行事の最後の奉納で初のしゅうと役を務めさせてもらい光栄だった」と振り返る。

 久野原の御田保存会会長の弓庭一太さんは「45年携わった御田が休止になるのは感慨深いものがある。保存会は存続するので御田の舞を再び奉納できるよう、次の世代に伝えていきたい」と話す。

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