
和歌山県固有の新種「クシモトクガビル」と外来種「カブトニオイガメ」の特別展示が4月1日、和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL 073-483-1777)の玄関ホールで始まった。
クシモトクガビルは2021年、串本町で当時京都大学の学生だった福山伊吹さんが発見。ヒル研究者の京都大学・中野隆文准教授が、体の線の数や内臓の位置、目や口の形などの特徴から、新種と認め、2022年に新種として記載された。ミミズに似た外見で、吸血せず、ミミズなどを食べる。
同館の高田賢人学芸員によると、クシモトクガビルは現在、串本町でしか見つかっていないが、隣の那智勝浦町や北は田辺市あたりまで生息している可能性があるといい、このほか、田辺市龍神村の護摩壇山では県内固有種「クビレクガビル」が確認されているという。
和歌山市内で発見されたカブトニオイガメは現在、「捨てたらアカン!逃がしたらアカン!逃げられてもアカン!」とのメッセージを添え、展示している。高田学芸員は「カブトニオイガメは、ペットショップなどで1万~2万円程度で取引されている小型のカメ。飼育されていた個体が逃げたか、捨てられたのではないか。外来種のカメの多くは、在来種の小魚やエビなども含め、口に入るものは何でも食べるので、生態系に影響を与える恐れがある」と話す。
「ヒルもカメも、特に子どもたちが熱心に見ており、質問も多い。今でも新種が発見されることや外来種の生き物を逃がしてはいけないことを知ってほしい。和歌山の生物多様性の豊かさと外来種問題について、興味・関心を広げるきっかけになれば」と高田学芸員。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は、一般=480円、65歳以上と高校生以下無料。展示は5月11日まで。