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有田川町の「体験交流工房わらし」が職人代替わりで新たなスタート

紙すき師の吉村紀子さん(左から2人目)

紙すき師の吉村紀子さん(左から2人目)

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 有田川町の「体験交流工房わらし」(有田川町清水、TEL 0737-25-0621)が4月1日、紙すき師が代替わりし、新たなスタートを切った。

保田紙や保田紙で作ったうちわ

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 同地域に伝わる「保田紙の紙すき」のほか、うちわ・あんどん作り体験などを提供する町営施設。同町によると、保田紙は江戸初期に紀州藩から命を受け、同地域の大庄屋・笠松左太夫らが製紙業を始めたとされる。最盛期には400軒ほどの紙すき工房が軒を連ね、和傘やうちわの材料として重宝された。昭和40年代に廃絶の危機にひんしたため、1979(昭和54)年、「高齢者生産活動センター(現・体験交流工房わらし)」を開設し再興した。現在は、寺院や書家から注文があるほか、2015(平成27)年の「紀の国わかやま国体」では表彰状に使われた。

 筆頭の紙すき師になった吉村紀子さんは同町清水地域出身。飲食店経営を経て、2021年から同工房で見習いとして働き、紙すきの技を身に付け、長らく唯一の職人であった前筆頭から工房を引き継いだ。

 吉村さんは「1枚1枚、手で作った保田紙には温かみを感じる。体験には、家族連れも多く、夏には自由研究として取り組む子どももいる。最近は、外国人観光客も増え、とても熱心に紙すきを楽しんでいる。自分ですくことで、世界に一枚だけの紙が出来上がる。和紙を作るだけでなく、原料の加工方法など、1枚の紙が出来上がるまでの工程が学べる。和紙の楽しみ方も伝えていきたい」と話す。「自分の生まれ育った地域の伝統工芸の後継者がいないと知り、この世界に飛び込んだ。次の世代にもこの技術を伝えていけたら」とも。

 営業時間は8時30分~16時30分。水曜・木曜・祝日定休。

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