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和歌山県立近代美術館で特別展「動き出す!絵画」 大正時代のアニメ上映も

20日のフロアレクチャーにはたくさんの人が集まった

20日のフロアレクチャーにはたくさんの人が集まった

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 和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で11月19日、特別展「動き出す!絵画 ペール北山の夢 ーモネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」が始まった。

展示室で上映しているアニメーション

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 同展は明治から大正期に若い洋画家たちの活動を支えた北山清太郎と、日本を熱狂させた西洋美術、西洋美術に影響を受けながら展開した近代日本の美術を紹介する。

 北山清太郎は1888(明治21)年、和歌山市生まれ。1912(明治45)年に美術雑誌「現代の洋画」を創刊し、当時は珍しかったカラー印刷で西洋美術を積極的に紹介した。その後、岸田劉生や木村荘八など若い洋画家たちの活動を、展覧会の開催やカタログ出版を通して支えた。若い画家たちは、パリでファン・ゴッホら多くの若い画家たちを支援した画材商のペール・タンギーになぞり「ペール北山」と呼んだという。1917(大正6)年5月にはアニメーション作品「猿蟹(さるかに)合戦」を浅草で公開。同年は1月に初の国産アニメーションが公開されたアニメ元年。北山も日本アニメ界のパイオニア3人のうちの1人として、その名を残した。

 同展はポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、フィンセント・ファン・ゴッホ、ジャン=フランソワ・ミレー、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどが描いた西洋画と、それに影響を受けた岸田劉生、木村荘八、萬鉄五郎などの日本の画家たちの西洋画約170点をそろえた大規模な絵画展。展示の最後は北山清太郎が制作した作品を含む大正時代のアニメーションを上映する。

 学芸員の青木加苗さんは「和歌山市出身だが、ペール北山のことを知っている人はとても少ない。彼が生きた時代、日本では水彩画ブームがあり美術界が動き出した。『現代の美術』出版によって多くの画家に影響を与え美術界を動かし、最後は動く絵・アニメーションを制作した。ぜひこの展示でペール北山のことを知ってほしい」と話す。「ゴッホやモネ、セザンヌなどの名だたる名画はもちろん、これらの作品から影響を受けた日本の近代美術画家たちの作品も見どころ」とも。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。観覧料は、一般=1,000円、大学生=800円、高校生以下と65歳以上は無料。来年1月15日まで。

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