紀美野町在住のイラストレーター、すけのあずささんが2月25日、絵本「うみのハナ」を「BL出版」(兵庫県)から刊行した。
同書は、和歌山市の漁師町雑賀崎の古い理髪店を舞台にした祖父母と孫娘の物語。同地に伝わる、春と秋の彼岸の中日に海に沈む夕日は花びらが降るように見える伝承「ハナフリ」が登場する。
すけのさんは、大阪府出身。2011(平成23)年~2013(平成25)年に世界を旅し、約60カ国を巡った。2018(平成30)年に初めて雑賀崎を訪れた際、漁師町の活気と迷路のような細い路地に、モロッコなどの海外の町を連想したという。地元の人々に愛されつつも閉店した漁港前の理髪店の取材を重ねるうちに、彼岸に「ハナフリ」を見に行くという風習を知り、どちらの記憶も伝えたいと、絵本に描き始めた。
すけのさんは「取材した雑賀崎の人たちに絵本を見せたら、とても喜んでもらえた。雑賀崎でもハナフリを見に行く風習は時代と共に消えかけている。ハナフリは人によって見え方が違うとも聞く。絵本をきっかけに、実際に雑賀崎に足を運び、自分だけのハナフリを見てくれたらうれしい」と話す。
4月1日~7日は「ちいさな駅美術館」(有田川町下津野)で、4月28日~5月5日は古書店「OLD FACTORY BOOKS(オールドファクトリーブックス)」(海南市船尾)で原画展を開く。
32ページ。価格は1,540円。