テレビ東京の番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」のロケが9月5日、和歌山城(和歌山市一番丁)北堀で行われた。
飛び跳ねる魚を捕まえようとするボランティア(写真提供=和歌山市)
同番組は、外来種が発生し困っている池の水を全部抜き、何が潜んでいるのかを調査するドキュメントバラエティー。8月26日から一の橋付近の排水口にあるせき板の一部を取り外し、28日夜間に大型土のうと排水ポンプを設置した。29日からロケ当日まで、北側の御橋廊下から一の橋付近の約9400平方メートルの水を抜いた。
和歌山市によると、2023年1月に開催した「未来の和歌山城を考えるシンポジウム」で参加者から「堀が汚い。番組に来てもらったら堀をきれいに掃除でき、瓦や遺構が出てくる可能性がある」と意見があったことをきっかけに、市が誘致した。昭和40年代に5年間かけて行った堀全体の土砂除去以来の試みで、今回のように大規模に堀の水を抜くのは初めてという。当日のボランティアには市報や市が運営する会員制ウェブサービスなどで400人近い応募があった。
当日は、抽選で選ばれた110人と地元企業・団体からの協力者10人の計120人が持参した胴長を着て堀に入った。尾花正啓和歌山市長や市の関係者も加わり、清掃活動、在来種・外来種の生物調査を行ったほか、市が計画する二の丸北辺櫓(やぐら)群復元に向けての石垣調査を行った。
堀からは特定外来種のアカミミガメやブルーギルの稚魚のほか、フナ類、モクズガニ、スッポン、テナガエビ、イシガメ、カワアナゴ、スジエビ、ボラなどの生物のほか、江戸時代の軒平瓦、軒丸瓦などが見つかった。
和歌山城整備企画課の柳雄介さんは「堀に入る体験は貴重でいつもと異なる景色が楽しめた。当日は暑く、ボランティアの皆さんは、事前準備も含め、大変だったはずだが、皆さん楽しみながら作業してくれた。ゴミや外来種は少なかったが、ヘドロの堆積があったので浄化を検討していきたい」と話す。「水を抜いたことでこれまで見えなかった石垣の測量ができ、基底部まで記録が残せた。今回の調査が今後の復元計画に役立てば」とも。