和歌山大学紀州経済史文化史研究所(和歌山市栄谷)で11月19日、2013年度特別展「絵葉書-そのメディア性と記録性-」が始まった。
同展は、教育学部の前身である和歌山師範学校が地理教材として絵はがきを活用しており、その所蔵が多かったことがきっかけ。さらに、全国的規模で絵はがきや写真帳を製作した企業が和歌山にあったことも、広く知ってもらいたかったという。
絵はがきの成立から普及の歴史をたどる本展示。絵はがきブームを支えたコロタイプ印刷や、その印刷技術を用いて和歌山県下だけでなく日本全国、さらには朝鮮や満州の絵はがきや写真帳を製作した大正写真工芸所についても丁寧に解説する。
展示する絵はがきや写真帳は、和歌山大学や和歌山市博物館、和歌山県立図書館、県内のコレクター所蔵の100点以上。一部の絵はがきは、実際に手に取って見ることもできる。
「印刷技術もさることながら、あまり注目されない表面(宛名面)の変遷にもスポットを当てた展示」と見どころを語るのは、同研究所の吉村旭輝さん。「和歌山での歴史的背景を通して見ることで、絵はがきのメディア性や記録性にも興味を持ってもらえれば」とも。
和歌山県民文化会館大会議室では今月24日、関連イベントとして特別展シンポジウムを開催。印刷技術や大正写真工芸所の歴史、記録としての絵はがきについての講演を行う。
開館時間は10時30分~16時。土曜・日曜・祝日休館。入館無料。事前に予約すれば吉村さんが案内するという。12月20日まで。