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有吉佐和子記念館限定本「輪島の漆器」販売へ 利益は伝統産業復興に

「輪島の漆器」を紹介する岡本さん

「輪島の漆器」を紹介する岡本さん

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 和歌山市立有吉佐和子記念館(和歌山市伝法橋南ノ丁)でオリジナル豆本「輪島の漆器」の販売が8月30日、始まる。発行は、有吉佐和子研究者の岡本和宜さんが立ち上げた個人出版「書肆(しょし) 青庵」(片岡町)。

有吉佐和子記念館オリジナル本「輪島の漆器」

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 有吉さんの没後40年に合わせ、同館と岡本さんが単行本未収録作品を刊行しようと企画した。同書はその第1弾。作品に加え、有吉さんが愛用した輪島の漆器や茶道具の写真を掲載する。表紙は有吉さんの愛用の着物柄を使った。売上金から経費を除いた全額を、1月1日の能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島塗の復興義援金として石川県の「輪島漆器商工業協同組合」に寄付する。

 有吉さんは1931(昭和6)年和歌山市生まれ。1956(昭和31)年に「地唄」が芥川賞候補と文学界新人賞に選ばれ文壇デビューした。「紀ノ川」「有田川」「日高川」「華岡青洲の妻」など和歌山を舞台にした作品のほか、高齢者問題を描いた「恍惚(こうこつ)の人」や環境問題を取り上げた「複合汚染」などを残した。

 「輪島の漆器」は有吉さんが1958(昭和33)年、雑誌「別冊文藝春秋」の企画で輪島塗の工房を取材し執筆したルポルタージュ。工房の様子を描くとともに、プラスチック製品が普及する中、伝統を守ろうとする当時の若い職人にエールを送った作品。

 岡本さんは「豆本を手に取ってもらうことで、有吉さんをさまざまな施設で展示される『すごい人』ではなく、身近な存在として感じてほしい。能登復興に協力するきっかけにもなれば」と話す。「有吉さんは随筆やルポルタージュなども書き残しているがそのほとんどが単行本になっていない。今後も単行本未収録作品を豆本として発行していきたい」とも。

 価格は1冊1,500円。A7サイズ、87ページ。発行部数は500部。

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