2025年大阪・関西万博の開幕に備えたテロ対処訓練が11月20日、紀伊田辺駅で行われた。主催は和歌山県警田辺警察署。
訓練のため防護服に身を包み紀伊田辺駅に停車した列車内を調べる田辺署員
同署が田辺市消防本部とJR西日本と合同で開催した訓練。当日は化学薬品と刃物を想定した2つの訓練に総勢60人ほどが参加し、乗客の救助や避難誘導などの訓練を行った。
化学薬品を想定した訓練では、ホームに到着した列車内で複数の乗客役が体調不良を訴え、次々と倒れた。発見した駅員が通報すると防護服を着た消防隊員が駆け付け、乗客役を担架に乗せ、救助した。続いて防護服を着た機動隊員らが化学薬品を回収し、車内を除染した。対刃物の訓練では、刃物を持った犯人役の男性がホームで列車を待つ駅利用者を斬りつけた。異変を察知した駅員らが刺股を持って駆け付け犯人役をけん制し、避難を呼びかけた。警察と消防がやって来ると犯人役を逮捕し、けが人を救助した。
中峰恵也署長は「大阪関西万博が来年開催される。世界の注目を集める大規模な国際イベントはテロリストの格好の標的になる。開催都市に隣接する本県が標的にされる可能性もある。有事に備え、顔の見える関係を構築・強化するため訓練を行った」と話す。
東耕太郎駅長は「近年、田辺市は世界から注目され、訓練中にもたくさんの外国旅行者が来ていた。紀伊田辺駅は多様な人が利用し、列車を待つ時間も長いため駅で過ごす時間も長い。有事の際には関係機関と連携し、乗客と社員の命を守れるよう対処したい」と話す。