
海南市立南野上小学校(海南市次ケ谷)で3月9日、創立150周年記念式典と100周年記念タイムカプセル開封セレモニーが行われた。
南野上小学校のタイムカプセルから出てきた作品を手に取る卒業生たち
同校は1875(明治8)年2月15日に亀ノ川小学校として開校し、幾度かの改称・合併を経て現在に至り、来年3月で閉校する。式典には神出政巳海南市長、宮本憲治海南市議会議長をはじめ、歴代校長や当時の教員、在校生、地域関係者などが参列した。
式典では150年の歴史をスライドショーで振り返る発表に続き、全校生徒17人が合唱した。タイムカプセルの開封セレモニーでは、カプセルに入っていた当時の制服や教科書、当時の児童の「未来の乗り物」をテーマにした絵画や工作作品、古道具などを公開。集まった人たちから歓声が上がった。
同カプセルは1975(昭和50)年9月17日、創立100周年記念式典および新校舎落成式に合わせ校舎近くの植え込み付近に埋設した。特注加工した、直径深さともに約80センチの円筒形樹脂製容器の底にシリカゲルを敷き詰めた。100周年記念誌には「2025年3月11日に開封すること」を明記し、50年にわたり学校関係者が引き継いできた。
今年1月25日に当時の在校生を中心とする有志が掘り出し、2月22日に保存状態の確認のため開封。内容物が良好な状態で保存されていることを確認した。有志メンバーによると、開封作業には約1時間半かかり、ふたを開けるとボンと音がなり、ガスのような気体が放出され、「玉手箱のようだった」という。
当時小学6年だった原谷裕和さんは「50年後に誰が開けるのか、自分がどうなっているのか、不安もあった」と話す。同期の西田昌弘さんは「埋まっていた場所が記憶と違ったが、カプセルのことは覚えていて、開封を楽しみにしていた。あと1年だが、子どもたちには校歌の歌詞の通り『仲良く明るく健やか』に育ってほしい」と話す。
森下茂行教頭は「南野上小学校に改称された1947(昭和22)年当時は、全校で344人の児童がいた。受け継がれてきた伝統と文化を大切にし、あと1年、子どもたちの成長のために教職員一同、全力で取り組んでいく」と意気込む。