
JRきのくに線の初島駅(有田市初島町浜)で3月26日、3Dプリンターを使った新駅舎が建設された。
JR西日本は、1949(昭和24)年に建てられ、老朽化が進んだ現駅舎の建て替えに伴い、新たな試みとして建設用3Dプリンターを使った工法を採用した。JR西日本によると、3Dプリンターを使った駅舎の建設は世界初といい、鉄筋コンクリート造と比べ、工期が大幅に短縮され、コストも半分程度になるという。
工事は25日の最終列車運行後から26日始発列車運行までの約6時間で行う。新駅舎は屋根や壁など4つのパーツで構成され、高さ2.6メートル、広さ約10平方メートル。各パーツをトラックで運び、重機を使って組み立てた。作業は約2時間半で終了し、足場を撤去すると新駅舎が姿を現した。
パーツは住宅メーカー「セレンディクス」(兵庫県)が製造。モルタルを出力する3Dプリンターで空洞のパーツを作り、中に鉄筋とコンクリートを組み込む。4つのパーツの総重量は約20トン。同社の共同創業者・飯田國大さんによると、1つのパーツを出力するのにかかる時間は約1日で、出力後30秒で硬化する技術で、曲線を描く屋根や壁面のモチーフが造れるという。
作業の様子を見守った近隣住人は「地元に世界初の物ができると聞いて驚いた。たくさんの人に自慢したい」「4つのパーツだけで駅舎ができるなんてすごい」と話す。
JR西日本和歌山支社地域共生室の御堂直樹担当課長は「駅舎壁面には有田市の特産品のミカンとタチウオを描いた。世界初の技術を有田市に導入できてうれしい。世界初の駅舎を見に、たくさんの人に訪れてほしい」と話す。
新駅舎は今後内装や券売機、ICカード専用端末の設置などを行い、7月ごろから運用を始める。