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和歌山県立自然博物館にワカヤマソウリュウの死骸ジオラマ ぬいぐるみで再現

産状レプリカから分かるワカヤマソウリュウの死骸が海底に横たわっていた時の様子

産状レプリカから分かるワカヤマソウリュウの死骸が海底に横たわっていた時の様子

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 「ワカヤマソウリュウ」のぬいぐるみを解体して作った「死骸」ジオラマの展示が3月25日、和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL 073-483-1777)に加わった。

ワカヤマソウリュウの死骸ジオラマを説明する小原学芸員

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 ワカヤマソウリュウは2006(平成18)年に有田川町で発見され、2023年に新属新種(学名=メガプテリギウス・ワカヤマエンシス)として正式に記載された水生爬虫(はちゅう)類。頭骨より長い前後の足ヒレや両眼視できる前向きの目、背ビレの存在可能性を示す骨格など、従来のモササウルス類とは異なる特徴を持つことで学術的に重要視されている。同館は、化石のほか、地層と化石を再現した「産状レプリカ」を展示する。復元骨格と生体復元模型も製作したが、現在は全国各地で巡回展示している。

 産状レプリカは、発見された化石の状態を忠実に再現。全身骨格がどのように岩盤に埋もれていたかが分かるよう、地表側の半身だけクリーニングが終わった状態を型取りして作製した。発見された化石は、左側を上にしたやや仰向けの姿勢だが、右前脚が裏返しになっていたり、頭部のみうつぶせだったりとねじれていた。

 「死骸」ジオラマは、産状レプリカの横に展示。頭部や尾などが切断され、綿が飛び出し海底に横たわるワカヤマソウリュウにツノザメやアンモナイトが群がる。胴体内部には椎骨、周囲には散乱した肋骨(ろっこつ)を配置。サメやアンモナイトの模型は職員が手作りした。昨年の特別展で展示したジオラマの復活版。ぬいぐるみ(3,500円)は、「和歌山県立自然博物館館友の会」が製作し、同館と有田川町内で販売している。

 小原正顕学芸課長は「分かりやすく親しみやすい展示を目指している。ぬいぐるみを使った展示は来館者にも好評で、SNSでも反響が大きい。ワカヤマソウリュウの不自然なねじれは、腐敗して関節が外れやすい状態になっていたことを示している。死後すぐに沈まずにしばらく海面を漂っていた可能性もある」と話す。「モササウルス類の中でもユニークな特徴を持つ貴重な化石が、和歌山から見つかり、世界からも注目を集めている。地域の宝をたくさんの人に知ってもらうきっかけになれば」とも。

 開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は480円(65歳以上、高校生以下無料)。

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