
中国に返還される4頭のジャイアントパンダ「良浜(らうひん)」「結浜(ゆいひん)」「彩浜(さいひん)」「楓浜(ふうひん)」の歓送セレモニーが6月27日、アドベンチャーワールド(白浜町)で行われた。
4頭は28日、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地(中国四川省)に返還される。同イベントは、4頭が中国でも元気に暮らし、パンダファミリーの幸せの輪が世界へ広がることを願い開催した。会場の「ビッグオーシャン」には、3000人の来園者が集まった。動画配信の視聴者は1万2000人を超えた。
良浜は2000(平成12)年に同園で生まれた24歳の雌パンダ。永明との間に10頭の子をもうけ、母として活躍してきた。高齢期に差し掛かったこともあり、高齢のパンダが安心して暮らすための施設や医療体制が整う中国で今後は穏やかに過ごす。2016(平成28)年生まれで8歳の結浜、2018(平成30)年生まれで6歳の彩浜、2020年生まれ・4歳の楓浜はいずれも良浜の子。将来の繁殖を目指し、中国でパートナーを探す。
セレモニーは今津孝二園長のあいさつで始まり、来賓を代表して中国の薛剣駐大阪総領事、宮崎泉和歌山県知事があいさつした。スクリーンでは結浜・彩浜・楓浜の成長記録や良浜の成長と子育て映像を上映。結浜・楓浜がいる希少動物繁殖センター「パンダラブ」と良浜・彩浜がいるジャイアントパンダ繁殖研究施設「ブリーディングセンター」の2カ所と中継がつながり、パンダたちが映ると会場からは歓声や笑い声が上がった。飼育スタッフを代表して品川友花さんが4頭のパンダへの思いをつづった手紙を読み上げた。4頭と共に中国へ届ける来園者からの寄せ書き横断幕の披露もあった。
セレモニー後、今津孝二園長は「4月24日から約2カ月、いよいよこの日がきた。あっという間だった。訪れてくれたたくさんの人たちに感謝している。4頭無事に届けられるように尽くしたい」と話す。「パンダの受け入れ、保全のプロジェクトは区切りを迎えたが、新たなステージに向けて準備したい」とも。
飼育スタッフの品川さんは「普段から声かけしてくれる来園者のパンダへの思い、スタッフへのあたたかい言葉が励みになった。皆さんのおかげでパンダは成長し、今日を迎えられた。パンダたちはおいしい竹をたくさん食べて元気に明日を迎えてほしい。パンダは感情や表情がとても豊かで親近感が湧く、知れば知るほど魅力あふれる生き物」と話す。