
第24回わかやま環境賞の表彰式が6月30日、和歌山県庁で行われた。
宮崎和歌山県知事から表彰状を受け取る「エビとカニの水族館」の平井館長
同賞は、県が2002(平成14)年に創設。環境保全の実践活動が模範となる個人・団体を表彰する。今年は3団体と1人が受賞した。
大賞は「すさみ町立エビとカニの水族館」(すさみ町)。同館は2014(平成26)年から、子どもたちが生物と触れ合える巡回水族館の活動を通じて環境教育を推進している。移動可能な水族館として東は長野県、西は香川県まで各地を訪れ、生物への理解を深める機会を提供することで、環境保全への意識向上に貢献している点が評価された。
このほか、独自技術で梅調味廃液を発電に活用し地域への環境負荷を軽減する「中田食品」(田辺市)、課外活動で水素社会構築に向けたシミュレーションおよび普及啓発活動を行う「和歌山高専すいそ組」(御坊市)の2団体も受賞した。特別賞は県内企業や団体への排水処理技術普及で水環境改善に取り組む白浜町の玉田卓さんが受賞した。
宮崎泉和歌山県知事は「受賞した皆さんの熱心な取り組みにより、環境保全活動が幅広い世代、分野で広まっていくことは、本県の豊かな環境を残すために重要。引き続き地域のリーダーとして本県の環境保全の取り組みにより一層力を貸してもらいたい」と話す。
エビとカニの水族館の平井厚志館長は「自然環境を壊すのは本当に簡単だが、元に戻すためには膨大なコストと時間がかかる。まずはたくさんの人に自然や生き物のこと、命の尊さを知ってもらうことが大事と考え、巡回水族館の活動を始めた」と話す。「生き物との触れ合いを体験すると子どもたちは笑顔を見せてくれるが、実はその様子を見守る保護者や周囲の大人たちもいい顔をしている。生き物を運ぶことは簡単ではないが、命の尊さや自然環境に興味を持つきっかけとなり、心の片隅に残ってくれたら」とも。