特別展「紀州の美を統べし殿様 徳川治宝(はるとみ)」が10月25日、和歌山市立博物館(和歌山市湊本町3)で始まった。
1771(明和8)年に第8代紀州藩主・徳川重倫の次男として生まれた治宝は1789(寛政元)年~1824(文政7)年、第10代紀州藩主を務め、学者や知識人、職人を登用し、積極的に藩内の文化振興を推し進めた。
同展では、治宝から下賜された品や社寺への寄進品、治宝の命で制作された絵巻物などの書画、工芸品、彫刻など80点以上を展示。「御筆のすさび」「偕楽園の工芸品」「有職故実御熱心のこと」「寄進や下賜した品々」「御殿障壁画を彩る絵師たち」「御用を仕る」の6章に分けて紹介する。
会期中、研究報告会「徳川治宝をめぐる教養と紀州の文化」(11月8日)、講座「徳川治宝による下賜と社寺への寄進」(11月29日)などの関連イベントも開く。
同館学芸員の新井美那さんは「治宝は歴代の藩主と比べても、和歌山に住んでいた期間が長く、82歳まで長生きした。そのため、芸術の保護者と語り継がれ、たくさんのゆかりの美術工芸品が残されている。自身も作品を残したほか、職人や芸事に秀でた家臣などさまざまな人たちに作らせた。治宝ゆかりの多彩な作品を楽しんでもらえたら」と話す。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(11月3日・24日は開館、翌日休館)。入館料は、一般=500円、高校生以下無料。11月15日・16日・22日は入館無料。12月7日まで。