和歌山・加太の淡嶋神社(和歌山市加太、TEL 073-459-0043)で3月3日、伝統神事「ひな流し」が行われた。
全国から届けられた女びな、男びなおよそ6000体が境内にずらり
同神社は全国に約1000社ある淡嶋神社の総本社。一説では、男びなと女びなは同神社に祭られている少彦名命(すくなひこなのみこと)と神功(じんぐう)皇后の像が起源で、「すくなひこな」祭が簡略化され「ひな祭り」になったという。人形供養の神社として知られ、今年も全国から20万体を超える人形が届いた。
宮司の前田光穂さんは「全国の流しひなの行き着く先がこの神社であり、ここからは全国の流しひなの思いをのせて神々の国へ旅立つ」と話す。
この日の和歌山県北部の気温は9度。少し肌寒い曇り空の下、あわ保育園の園児が「うれしいひなまつり」を元気に合唱し、「ひな流し」が始まった。
大勢の見物客が静かに見守る中、前田宮司が「願い事やみなさまの幸せを願いながら、心で見てください」と呼び掛けた。100体以上の人形を乗せた舟を担いだのは、15人ほどの女性参拝者たち。神社から約1キロ離れた海岸で、合計400体の人形を載せた3艘(そう)の舟を海に浮かべた。
大阪市貝塚市から来た行幸子さんは「娘が2歳の時に来たことがある。そのときはテレビにも映って縁起がよかった」と話す。「今年は結婚した娘と一緒に、子宝に恵まれるようにと2人で舟を担いだ」と話す。
和歌山市から来た清木さん夫妻は「来たのは初めて。2人の孫の健康と幸せをお願いした」と笑顔を見せた。別の女性は「神事を全て見ることができてよかった。厳かでとても素晴らしい」と興奮気味に話していた。