和歌山の企業団地「コスモパーク加太」(和歌山市加太)で3月7日、和歌山大学(栄谷)や秋田大学(秋田市)などが協力した「Candy Rocket Project(キャンディロケットプロジェクト)」によるロケットの打ち上げが行われた。
「キャンディロケット」を分解して構造を説明する和歌山大学宇宙教育研究所の秋山演亮所長
身近にある食べ物を燃料に使ったロケットを開発しようと2012年8月に始まった同プロジェクト。UHA味覚糖(大阪市)のソフトキャンディー「ぷっちょ」を主な固体燃料として使い、ハイブリッドロケットを開発した。エンジン開発には秋田大学秋田宇宙開発研究所の和田豊所長、打ち上げ環境の整備には和歌山大学宇宙教育研究所の秋山演亮(ひろあき)所長らが協力した。
固体燃料と液体酸化剤の2種類をエネルギーとして進む「ハイブリッドロケット」は通常、固体燃料には樹脂やゴムが使われるが、それをキャンディーに置き換えた。キャンディーは糖分を多く含んでおり、燃焼させることで高いエネルギーが発生するという。「ぷっちょ」は1粒あたり約19キロカロリーで、今回は20粒が燃料としてエンジンに投入された。
打ち上げロケットは全長1メートル80センチ、直径15センチで重さは約8キロ。打ち上げは2回とも成功し、1回目は7秒で248メートルの高さまで上がった。和田所長は「地上実験では性能がきちんと出ていたが、失敗しないか心配していた。ほぼ予定通りの高度まで上がり、実験が大成功したのでホッとした」と笑顔で話し、「キャンディーが質の高い燃料になることが実証できた。非常食が緊急用燃料になるというのは次の新しい研究につながっていくと思う」とも。
秋山所長は「このプロジェクトには教育を目的とする側面もあった。大人が自由な発想で面白いことにチャレンジすることで、それを見ていた子どもたちが何かに挑戦しようと思ってくれれば」と話す。現地で打ち上げを見学した日本宇宙少年団和歌山分団のメンバーからは「楽しかった、すごい」の声が上がった。
ロケット開発から打ち上げの様子を収録した動画は同プロジェクトホームページで視聴できる。