和歌山城敷地内にある和歌山公園動物園で12月28日、動物園長の「ベニー」が冬眠に入った。
ベニーは1994年に来園した推定年齢23歳の雌のツキノワグマ。昨年7月の第1回動物園長選挙で同園初の「動物の園長」に選ばれ、園の広報物に登場するなどPR活動に一役買っている。
動物園のクマは寒い地方でも通年展示が一般的だが、同園では1972(昭和47)年にクマの飼育を始めてから毎年、歴代のクマを冬眠させている。ベニーは冬眠中、わらを敷いた寝室で2日に1回程度、サツマイモや食パン、バナナ、ゆでた卵黄などを食べて春を待つという。
この日は、飼育員がわらを敷いて寝室を準備して扉を開けると、運動場の砂場で寝ていたベニーはゆっくりと起き上がり寝室へと入っていった。寝室では手でわらをかいて寝心地の良い場所を確保した。
気象庁の発表によると、和歌山市の日中最高気温は7.8度。前日からは11度も下がり冷え込む一日となった。飼育員の前嶋弘樹さんは「明日の朝も冷え込む予報なので、ベニーの仕事納めにはちょうどいい日になった。ゆっくり休んで1年間の園長業務の疲れを癒やしてほしい」と話す。「春の桜まつりのころに起きてくるので、また元気な姿を見に来てほしい」とも。
来園者からは「冬眠前に見られて良かった」と喜ぶ声や、「また春に会おうね」と呼び掛ける声などが聞かれた。
冬眠期間は3月下旬まで。