和歌山大学の学生で組織する「きのくに線活性化プロジェクト」のメンバーが5月29日、JRきのくに線の湯川駅(東牟婁郡那智勝浦町)周辺で草刈りと清掃活動を行った。
2019年にJRきのくに線の活性化を通じた地域活性化を目的に発足した同プロジェクトではこれまで、同線や鉄道、地域活性に関する勉強会、SNSを使った沿線の魅力発信などを行ってきた。現在のメンバーは12人。
公共交通に詳しい同大学の西川一弘准教授によると、湯川駅は同線にある駅の中で最も海に近く、景観が良いことで知られているが、近年は草木が生い茂り、駅ホームや列車から景色が見えにくかったという。清掃活動は「海の見える駅」として訪れる人に楽しんでもらおうとの思いからメンバーが企画した。
当日は、学生10人のほか、土地所有者の「協栄機械土地」(大阪府)や那智勝浦町役場、JR西日本和歌山支社などから約10人が応援に駆けつけ、五月晴れの下、草刈りや清掃活動を行った。清掃後はホームから海を見渡せる範囲が広がった。草木に埋もれていた桜の木はシンボルとして残された。
清掃活動開始前に、堀順一郎那智勝浦町長が「駅からの風景も観光として魅力の一つ。駅周辺がきれいになることはありがたい。町を挙げて応援したい」とあいさつ。堀町長も清掃に参加し、チェーンソーで樹木の伐採などを行った。
同プロジェクト代表の岸本瑞生さんは「最初はどうなるかと思ったが、たくさんの人の協力で湯川駅は予想以上にオーシャンビューな駅によみがえった。海側からも駅が見えるようになり、特急列車が来たときには手を振るなどして楽しかった。7月にはウエストエクスプレス銀河が運行されるので、たくさんの人に景色を楽しんでもらえれば」と話す。「今後は『海の見える駅』としてPRしていくのはもちろん、草刈りで開けたスペースを使って駅の価値を高める活動を進め、地元の人や観光客が楽しめる駅にしていきたい」と意気込む。