笛型ビーコン(発信機)を使った児童見守り事業が6月1日、和歌山市立伏虎義務教育学校(和歌山市鷺ノ森1)で始まった。
同事業は、和歌山市がまちづくりに先端技術を活用する「スマートシティ」構想の一環。IoT(モノのインターネット)と情報通信技術を活用し、子どもの所在把握と見守り環境の整備、緊急時の関係機関への位置情報提供など、子どもが安心・安全に暮らせる環境作りを推進する。
和歌山市ではこれまで、児童に防犯用の笛を配布。ランドセルなどに取り付け、助けを呼ぶよう指導を行ってきた。今後は、保護者が申し込めば、笛型の「見守り端末」を無償で配布するという。同校では6月1日現在、児童64人の保護者から申し込みがあった。
同端末を持つ児童が「見守り基地局」を設置した通学路沿いの施設・店舗やスマートフォンアプリ「見守り人」をインストールしたスマートフォンを持つ人の付近を通過すると、位置情報がサーバー上に記録される。緊急時には、サービスを運営する「otta(オッタ)」(福岡県)が教育委員会や警察に情報提供を行う。そのほか保護者向けに自分の子どもの位置情報を閲覧できる有料サービス(月額495円)も用意する。
同事業は、3月に公募型プロポーザルで「和歌山電力」(塩屋5)が受託。同社が基地局の設置と維持を行う。今後は校区単位で対象地域を広げ、2~3年で市内51校区に1校区あたり20台~40台の基地局を設置し、16789人の児童の見守りを目指すという。同社ウェブサイトでは現在、基地局設置に協力する店舗や事務所を募集している。
和歌山市教育委員会の東康修さんは「和歌山市内での不審者情報は年間100件を超える。現在は、地域の見守り隊として地域住民の皆さんに街頭に立っていただいているが、地域により差が生じている。共働きの保護者などから、見守りサービス導入を望む声があり、サービスを提供できないか検討してきた。和歌山電力と協力し、できるだけ早く全ての校区でサービスが利用できるよう取り組んでいきたい」と意気込む。
十河秀彰校長は「子どもの安心安全の確保は学校の最重要課題。地域の人による見守りに加え、この事業でさらに安心安全が確保されることをうれしく思う。習い事など、校区外に出ても対応できるよう、事業が広がることを期待している」と話す。