海南市の平和酒造(海南市溝ノ口)の「平和クラフト レッドエール」が5月、「ワールドビアカップ」(WBC)で「アイリッシュスタイル・レッドエール部門」金賞を受賞した。
WBCで「アイリッシュスタイル・レッドエール部門」金賞を受賞した「平和クラフト レッドエール」
WBCは1996年から2年に1度、米国ミネソタ州で開催されるクラフトビールのコンペティション。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止になり、4年ぶりの開催となった。今年は57カ国から2493醸造所が参加し、103部門に10542銘柄のビールがエントリーされた。アイリッシュスタイル・レッドエールは世界的に愛好者が多く、115のエントリーがあった。
「平和クラフト レッドエール」は、2020年発売。麦芽とホップのみを使った赤い色合いと苦みの少ない味わいが特長。アルコール度数は5%。価格は400円(税別・330ミリリットル入り)。
平和クラフトは2016(平成28)年から同社が製造するクラフトビールブランド。同コンペティションには2018(平成30)年に続く、2度目の挑戦だった。同社によれば、受賞後、同商品の販売量は約3倍になり、同業他社から「日本を代表してよくやった」と祝福のメッセージが寄せられたという。
事業立ち上げから関わるビール醸造家・高木加奈子さんは「オンライン中継で受賞を知り、とにかくびっくりした。鮮度がシビアに求められるホップではなく、醸造技術が問われる麦芽の味わいを主にしたことで、輸送に強くなり、本場のクラフトビールと互角に戦うことができた。日本では濃い色のビールは一般的ではないが、見た目の印象より飲みやすい」と話す。「会社員としてビール造りに取り組む中で、コンペティションへの出品は、品質の評価やフィードバックを得てモチベーションを高め、技術を研さんするために大切にしている。世界一のビールを醸造できたことを励みに、さらに技術を磨いていきたい」と意気込む。
県内の酒販店などで販売するほか、南海和歌山市駅併設施設「キーノ和歌山」内の「平和酒店」と「平和どぶろく兜町醸造所」(東京都中央区)では生ビールで提供する。