「隅田駅感謝祭」が10月30日、JR和歌山線隅田駅で開催される。主催は、和歌山線沿線の自治体と和歌山県、JR西日本和歌山支社で構成する和歌山線活性化検討委員会。
JR西日本和歌山支社によると、同駅は1898(明治31)年に設置。1984(昭和59)年に同駅が無人駅になって以降、木造瓦ぶきの駅舎には落書き被害が続出。同駅を管理する橋本駅の駅長が「駅舎に絵を描くことで落書き被害を防止できないか」と、2011(平成23)年に市立隅田中学校に相談した。同校美術部の生徒たちがオリジナルキャラクターや地域の祭り、特産の柿などのイラストを描いたことから「ペイント駅舎」として知られるようになった。
築100年以上が経過し、老朽化したことから旧駅舎の隣に新駅舎を建設し、9月から供用を開始。旧駅舎は来年3月までに取り壊すことを公表したところ、地域住民から絵を残してほしいと要望があったという。2011年当時、生徒たちの担任だった清水美晴校長から同校に飾りたいと申し出があり、取り外しが可能な2点を寄贈する。
感謝祭当日は、来場者が旧駅舎内待合室の壁面に同駅へのメッセージやイラストなどを自由に描ける「駅舎フリーペイント」を開催。同校吹奏楽部の「ありがとう演奏会」や美術部への駅舎ペイント寄贈式などを行う。そのほか、先着400人に記念ポストカードを進呈する。
同社の中島有紀さんは「駅舎全面やホームまで地元中学生が絵を描く取り組みは全国的にも珍しく、駅舎を目当てに鉄道ファンも訪れる。絵のおかげで駅全体が明るくなり、和歌山線のほかの駅でも取り入れるきっかけになった」と話す。「駅舎内にペイントして、にぎやかに最後を迎えられたら」とも。
開催時間は13時~16時。雨天時、演奏会と寄贈式は隅田中学校で行う。