中国に返還される3頭のジャイアントパンダ「永明(えいめい)」「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」のお別れセレモニーが2月21日、アドベンチャーワールド(白浜町堅田)で行われた。
3頭は22日、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地(中国四川省)に返還される。同イベントは、3頭が中国でも元気に暮らせることを願い開催した。会場の「ビッグオーシャン」には、約2000人の来園者が集まった。
セレモニーでは、今津孝二園長があいさつ。続いてゲストの中国駐大阪総領事館の関係者があいさつした。スクリーンでは、永明28年の軌跡、桜浜・桃浜の8年間の成長記録映像を上映。3頭が暮らす「ブリーディングセンター」と中継をつなぐと、歓声が上がった。
永明は昨年9月に30歳を迎えた雄パンダ。1994(平成6)年に同園に来園し、「梅梅(メイメイ)」との間に6頭、2000(平成12)年に同園で生まれた「良浜(らうひん)」との間に10頭、計16頭の子どもをもうけた。ジャイアントパンダの保全、継続的な日中共同繁殖研究の計画に基づき、中国へ返還される。桜浜・桃浜は2014(平成26)年に誕生した双子の雌パンダ。性成熟の年齢に達し、中国でパートナーを探す。
今津園長は「永明はアドベンチャーワールドだけでなく、ジャイアントパンダの種の保存に大きな貢献をしてくれた。桜浜と桃浜は、早ければ来年にも赤ちゃん誕生のニュースを届けてくれるかもしれない。これまで竹を長年にわたり、供給してくれた皆さん。いつも温かい応援メッセージをくれる全国と地元白浜の皆さん。これまで日々の健康管理に尽力してくれた歴代のパンダスタッフにもねぎらいの言葉をかけたい」と話す。「30 歳になった永明の輸送を心配する声をいただいている。私も同行し、3頭が無事、成都に届けられるよう全力でサポートする」とも。
飼育スタッフの品川友花さんは「姉の桜浜はマイペースでほかのパンダとは違った行動をすることがあり、ずっと見ていても飽きなかった。小さい頃から舌を出すくせは今も変わらない。妹の桃浜はやさしい性格。運動場では先に行っておやつや竹を食べてしまい体重が増えたこともあった。永明は竹にこだわりがあり、鳴いて竹を欲しがる永明との戦いはスタッフ皆の一番の思い出。暑い日も雨の日も竹を取りに行った。竹の選び方や健康管理、トレーニングなど、パンダ飼育の基礎は全て永明から教わったようなもの。感謝してもしきれない」と話す。