特別展「よみがえるワカヤマソウリュウ」が現在、和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL 073-483-1777)で開催している。
ワカヤマソウリュウ(学名=メガプテリギウス・ワカヤマエンシス)は、2023年12月に同館が新属新種として発表した海生爬虫(はちゅう)類のモササウルス類の通称。同館学芸課長の小原正顕さんによると、他のモササウルス類と比べ、頭骨より長い前後の脚ヒレや両眼視できる前向きの眼、背ビレの存在の可能性を示す骨格などの特徴があり、ウミガメのように泳ぎ、素早い小魚を捕食していた可能性が高いという。
2006(平成18)年に有田川町の鳥屋城山周辺の約7200万年前の地層から化石が発見され、2010(平成22)年12月~翌年3月の大掛かりな発掘調査で、尾部を除くほぼ全身の骨が発掘された。同館によれば、モササウルス類としてはアジアおよび北西太平洋地域で唯一の全身骨格化石であり、世界的にも貴重な標本だという。
同展では、推定全長約6メートルのワカヤマソウリュウの骨格化石一式を展示するほか、完全復元した実物大頭骨のレプリカを初公開する。そのほか6種のモササウルス類や魚竜と現生オオトカゲの縮小頭骨模型、ワカヤマソウリュウ発掘現場で発見されたアンモナイト、サメの歯の化石などを参考に描いた約7200万年前の和歌山の海中景観画を展示する。
小原さんは「全身の化石を見て迫力を感じ、ワカヤマソウリュウの特徴をじっくり観察してほしい。ワカヤマソウリュウはこれまで知られていたモササウルス類の枠に収まらないユニークな特徴がある。和歌山県で発見したワカヤマソウリュウが、研究者や海外の古生物ファンなど、世界からも注目を集めている。全国の人に見てもらえたら」と話す。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は480円(65歳以上、高校生以下無料)。9月1日まで。