企画展「万博のレガシー 解体と再生、未完の営為を考える」が2月14日、和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で始まった。
建築家・黒川紀章が設計した「タカラ・ビューティリオン」パビリオンの模型
国際博覧会(以下、万博)は1851年、英ロンドンで始まり、参加国が自国の文化や技術力を発信するイベントとして世界各地で開催されている。企画展は2部構成で、ポスターや模型、建築写真、記録映像など300点以上を紹介。万博の歴史や変遷をたどり、同館の設計者で、1970(昭和45)年の大阪万博(以下、70年万博)で3つのパビリオンを手がけた建築家・黒川紀章の建築理念や仕事からも万博を読み解く。
第1部は、19世紀の初期万博から70年万博までの歴史や会場空間の変遷を、ディスプレーデザイン会社「乃村工藝社」(東京都港区)のコレクションを中心に展示 。日本での博覧会の様子を伝える木版画や日本が初出展したパリ万博の様子を伝える記録画、日中戦争などで中止され幻の万博となった1940(昭和15)年の「紀元二千六百年記念日本万国博覧会」のポスターなどが並ぶ。
第2部は、70年万博で黒川が手がけた「空中テーマ館」「タカラ・ビューティリオン」「東芝IHI館」を通して、黒川が提唱した「メタボリズム(新陳代謝)」の建築理念を紹介 。黒川の手描きの図面や共に展示を作った外国人建築家のスケッチや図面、建築模型や写真などが並ぶ。会場にはこのほか、大阪・関西万博の和歌山ゾーンに出品した吉本英樹さんのアートワーク「トーテム」も展示する 。
関連企画として、2月14日は吉本さん、同15日はデザイナーのコシノジュンコさんを招き、トークショーを開いた。3月8日に建築家の隈研吾さん、吉本さん、美術評論家・建畠哲さん、15日に金沢工業大学五十嵐威暢アーカイブ学芸スタッフの鯉沼晴悠さん、渋谷区立松濤美術館の木原天彦学芸員などのゲストを招いた講演やトークショーを予定する。
学芸員の芦高郁子さんは「万博は各国の技術や文化、芸術などを見せる場であり、建築家やデザイナーが社会や未来を示す場。黒川さんが設計したパビリオンから、彼が構想・展望した未来や先見性に触れてもらえたら」と話す。「デザインや建築、アートを通して文化的側面から万博を考える機会になれば」とも。
開館時間は9時30分~17時(最終入館は16時30分)。観覧料は、一般=600円、大学生=330円、高校生以下・65歳以上・障害者手帳保持者=無料 。月曜(ただし2月23日、5月4日は開館)、2月24日、4月1日~5日休館 。5月6日まで。