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和歌山で芸術祭「ワカヤマサローネ」 歴史的建造物を会場に

高野口駅前にある葛城館

高野口駅前にある葛城館

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 和歌山市役所(和歌山市七番丁)で7月31日、芸術祭「WAKAYAMA SALONE(ワカヤマサローネ)2015」の会場が発表された。主催はアーティスト支援団体SoA(ソア)を中心とする実行委員会。

記者会見で話す小川さん(中央)

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会場となる施設は、旧葛城館(橋本市高野口町)、旧西本組本社ビル(小野町)、あしべ屋妹背別荘(和歌浦中)、田島漆店工場跡(海南市船尾)などの歴史的建造物。

 同芸術祭の開催は今年が初めて。同時期に行われる「紀の国わかやま国体」文化プログラムの1つにもなっている。テーマは「旅するようにアートを楽しむ」。県外からの訪問者が観光しながら現代アートを楽しめるように観光名所である和歌山城、和歌浦、高野山、黒江などに会場を設ける。

 会場の1つ、旧葛城館はJR和歌山線高野口駅前の旅館。2001年に国の登録有形文化財に登録された。和歌山建築士会副会長の中西重裕さんは「葛城館は現存している3階建て木造建築としても古い明治後期のものと見られる。当時は高野山の参拝客でにぎわっていたらしい。正面にはガラスをふんだんに使い、屋根も唐破風(からはふ)と千鳥破風を使った見事な構えになっている。1階土間の敷き瓦や2階の邪気よけとみられる鏡の細工など、細部にも凝った装飾が見られ建築的にも価値がある」と話す。

 あしべ屋妹背別荘は明治時代に和歌浦で旅館を営む「芦辺屋」の別荘として、近くの小島「妹背山」に建てられた。同別荘は芦辺屋が持つ別荘の中でも格が高く、皇族も訪れたと言われている。大正時代の芦辺屋廃業時に、地元建設業の西本健次郎へ譲渡され、それ以降、西本家が約100年にわたり代々、所有・管理運営を行ってきた。2010年に和歌浦地区が国名勝の指定されたことに伴い、現在は活用方法が検討されている。

 実行委員長の小川貴央さんは「芸術祭をきっかけに、古きよき名建築も楽しんでほしい。普段は公開していない建物の中に入る貴重な機会。古くても趣のある名建築は後世に残していきたい。建物保存のきっかけになればうれしい」と話す。

 会期は9月13日~10月12日、開催時間は10時~17時。全会場を鑑賞できるパスポート(1,000円)も販売する。

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