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和歌山・須佐神社で「鯛投げ祭」 海で荒々しいみそぎも

荒々しくみこしを海に沈めるみそぎ

荒々しくみこしを海に沈めるみそぎ

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 和歌山・有田の「須佐(すさ)神社」(有田市千田)で10月14日、例大祭「千田(ちだ)祭」が開催された。

子どもたちが6尾のタイを投げると男たちによる奪い合いが始まった

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 713(和銅6)年発祥という同神社。大和国吉野郡西川峯(現在の奈良県吉野郡吉野山)から勧請(かんじょう)した主祭神「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」は海上安全守護、災難除の神として信仰を集める。古くは毎年9月寅卯日に同祭りは行われていたが、1647(正保4)年に旧暦の9月14日に改められ、その後太陽暦が使用されるようになったことで、現在の10月14日に定められた。もともとは御神幸が目的で、海の守護神にタイを供える祭りだったといわれている。

 当日は13時になるとほら貝が鳴らされ、本殿前で大みこし、男女の子どもみこし、稚児行列等約300人がおはらいを受け、御霊遷し(みたまうつし)が執り行われた。ほら貝の合図で拝殿から男女の子どもみこし、稚児行列が順に石段を下ると、大みこしが石段に登場。約750キログラムのみこしを氏子の8地区から集まった約30人が担ぐ。石段を滑らせるようにみこしをニの鳥居まで下ろすと、同鳥居の前では8基の組太鼓が約2時間にわたり笛太鼓を奉納。その後は8基の組太鼓を先頭に、大榊(おおさかき)、大獅子、ほら貝、鉄棒、天狗、大みこし、鬼、神主、神饌唐櫃(しんせんからびつ)、懸鯛唐櫃、子どもみこし、御宝持ちの行列がほら貝の合図で高田浜まで巡行した。道中、大みこしは担ぎ手によって放り上げられては何度も地面に落とされる場面も。同神社の神主・小賀宏澄さんは「素戔嗚尊が荒い祭りが好きだったので、みこしを大きく揺さぶる動きがある」と話す。浜で組太鼓に迎えられたみこしは海に入り「みそぎ」を行った。

 神主がみこしの前で祝詞をあげたあとには、「鯛投神事」が行われた。同神事は神前に供えられたタイの内2尺程度の大きさの6尾を、男子みこしの担ぎ手から各地区1人ずつがやぐらの上から投げ、それを奪い合う神事。タイを取るとその一年五穀豊穣(ほうじょう)であると言われ、うろこの1枚でも取ろうと激しい奪い合いが起こることから、「千田のけんか祭り」と呼ばれる。

 9年連続タイを取った宮崎英彰さんは「今年も地区の仲間の協力でタイが取れた。今年もいい年になればうれしい」と話す。今年2回目の参加でタイを初めて取った森脇悠人さんは「タイを持って逃げるのに海に飛び込んで3回こけた」と苦笑い。「2匹ついたタイを取れてうれしい」と笑顔を見せていた。

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