和歌山の繁華街、アロチの鉄板焼店「ぐりる中村」(和歌山市吉田、TEL 073-431-7787)が開店50周年を迎えた。
店主の中村光男さんは京都で生まれ、新制中学校を卒業した17歳の時、叔母が住む和歌山にやってきた。その後、近所の食堂で皿洗いを始め、大阪など県外のレストランで修業。叔母の家を改装した洋食店を開き、独立を果たしたという。
中村さんは「最初はカウンター7席だけの小さな定食屋で、売り上げも1日5,000円くらいしかなかった。しかし、『新日鉄住金』など地元企業の固定客ができ、徐々に売り上げが伸びた。ビルを建てて今の場所に移転したのは27年前」と当時を振り返る。
1階は昔ながらの洋食店、2階はしゃぶしゃぶやすき焼きなどの鍋物、4階~6階は鉄板焼き店として展開している。鉄板焼きはすべて個室で、部屋の中央に設置した大きな鉄板で調理する。「ステーキといえば、かつてはデミグラスソースが主流だった。そこで、しょう油で食べるスタイルを提案した所、これが好評を博した」と中村さん。
メニューはステーキランチ(3,500円)、鉄板焼きサービスコース(6,000円)、Aコース(9,500円)、Bコース(14,000円)、貝柱コース(10,500円)、海鮮コース(8,500円)、和牛ヒレステーキ、和牛ロースステーキ(以上8,300円)などを提供する。ドリンクメニューはグラスワイン(450円)、生ビール(600円)、焼酎(450円~)、ウイスキー(400円~)、ウーロン茶、コーヒー、ジュース(以上350円、価格は全て税別)など。12月29日まで50周年を記念し、各コースでサーロインを選ぶと20パーセント割引になる。
「関西は神戸牛をはじめ、但馬牛や近江牛、松阪牛、伊賀牛といったブランド牛の産地が点在し、牛肉の消費量も多い。お客さんに出すときに『どこの牛肉か』と聞かれて県外の銘柄ばかりだと気づいたとき、和歌山のブランド牛も出したいと思った」と中村さん。当時の仮谷志良和歌山県知事からも相談を受け、和歌山の牛肉ブランド「熊野牛」の設立にも尽力。和歌山県熊野牛ブランド化推進協議会の会長を10年間務めたという。
82歳を迎えた中村さんは、調理場の一線からは退いたが、現在も牛肉の選定をしている。「和歌山のみなさんのおかげで、ここまで大きく商売をさせてもらえるようになった。良いものを提供して地元の方々に恩返ししたい」と笑顔を見せる。
営業時間は11時~21時30分(ラストオーダー)。