和歌山市立伏虎(ふっこ)中学校(和歌山市七番丁)で5月18日、「みんなで伏虎中跡地を提案する市民の会」がワークショップの成果発表会を開いた。
和歌山城の北側、市内中心市街に位置する同校。和歌山市の児童減少に伴う適正規模化の方針で2017年、同学区にある本町小学校・城北小学校・雄湊(おのみなと)小学校の3校を統合。現在の城北小学校の敷地に、小中一貫校「伏虎小中学校」が誕生する。
一昨年10月30日に開かれた「和歌山県・和歌山市政策連携会議」で、市は和歌山城周辺地区に和歌山県立医科大学薬学部の新設と大学の誘致を提案。昨年7月には跡地利用に関するアンケートとワークショップを行い、老朽化や耐震化で建て替え時期を迎える市民会館の移転と薬学部誘致を基本構想として今年2月に発表した。
同市民の会は跡地の利用方法に疑問を持ったメンバーが集まり、昨年2月に結成。5月にワークショップを開き、跡地活用についてアイデアを出し合った。8月28日に尾花正啓市長へ要望書を提出し、10月に工学院大学教授で建築都市デザインが専門の倉田直道さんを招いた講演会とワークショップを行った。2日間で約40人が参加し、意見を出し合った。
成果発表会には46人が参加。同会代表で建築士の橋本雅史さんが「伏虎中学校は街の中心部。50年後、100年後を見据えたあり方を市民も考えて意見を出すべき。私たちのアイデアを発表することで、皆さんが街の未来を考えるきっかけになれば」と話し、ドローンを使った同中学校敷地の空撮映像を上映した後、立地条件について説明した。
その後、ワークショップ参加者が2つの案を発表した。一つ目は、大ホール・小ホールを備えた市民会館と和歌山城内にある「わかやま歴史館」を渡り廊下でつなぎ、子育て世代や若者、観光客など誰でも日常的に使える場所を目指すもの。もう一つは、現在の建物を生かした図書室やキッチンスペース、チャレンジショップなどを作るリノベーションを中心とした案。このほか、カフェやフィッシャーマンズマーケット、ファーマーズマーケット、和歌山城の堀から市堀川までの人の流れをつなぐ提案も上がった。
会場からは「校舎を残したい」「なぜここに市民会館なのか、ほかの開発案件と合わせて市の展望を聞きたい」などの意見が聞かれた。マンションや習い事スペース、屋上農園といった跡地利用のアイデアも提案されるなど、活発な意見交換が行われた。
傍聴した30代女性は「ほぼ満席で、関心の高さに驚いた。発表後もさらにいろいろな要望や意見が出て、考えるきっかけになった」と話す。
今後の展望について、橋本さんは「興味を示してくれる市議会議員も出てきたので、市民の声として伝えていきたい。ワークショップには18歳から80代まで幅広い層が参加してくれた。市長にも私たちの声を届けたい」と話す。