和歌山・有田川町の「有田川鉄道公園」(有田川町徳田)で6月25日、蒸気機関車「D51 827」の試験走行が行われた。
「デゴイチ」の愛称で知られる「国鉄D51形蒸気機関車」。同公園に搬入された車両は1943(昭和18)に旧鉄道省浜松工場で製造され、1946(昭和21)年~1973(昭和48)年まで27年間運行したもの。高さ約4メートル、幅約3メートル、長さは20メートルほどあり、重さはおよそ78トン。
同車両は愛知県あま市で個人が所有していたもの。鉄道車両など超大重量物の輸送業務を手掛ける「アチハ」(大阪市住之江区)が譲り受け、4月18日に搬入した。動力は石炭でなく、軽油を使った圧縮空気方式を採用する。線路と車庫を備える同公園で整備を行い、同社がSLリース事業に活用する。
同公園は2002年に廃線になった私鉄「有田鉄道」の金屋口駅とその周辺用地を町が整備し、2010年3月に開園。敷地内には400メートルの線路があり、土地と一緒に譲り受けた車両「キハ58」と「ハイモ180」を動態保存し、来園者は運転体験ができる。年間で約9000人が訪れる。
初の試験走行を行ったこの日は、鉄道ファンなど約190人が見守る中、雨に負けずに園内の線路約200メートルを4往復した。
同町商工観光課の梅本泰彦さんは「有田鉄道にはデゴイチのような大型の機関車は走っていなかった。有田鉄道を知っている人も、その大きさに驚くのではないか」と話す。「偶然、デゴイチの試験走行を目にした京阪神の来園者は『貴重なものが見られた』と喜んでくれていた。これから整備と調整を進めて、夏休みにご覧に入れられれば」とも。
園内にある有田川町鉄道交流館の開館時間は10時~17時。水曜・木曜休館。