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和歌山県立自然博物館で「興味津々!深海魚」展 標本180点、研究の振り返りも

「アカナマダ」の標本を取り出す学芸員の揖さん

「アカナマダ」の標本を取り出す学芸員の揖さん

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 和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL 073-483-1777)で7月21日、特別展「興味津々!深海魚」が始まる。

天覧品の「ラブカ」の標本(京都大学瀬戸臨海実験所所蔵)

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 年に1回開催する同館の特別展は今回で35回目。テーマは「深海魚」。

 深海魚は水深200メートルより深い所に住む魚類のこと。本州最南端の潮岬沖には南海トラフと呼ばれる水深4000メートルに達する溝があり、昔からさまざまな深海魚が水揚げされたり流れ着いたりしてきた。珍しい形をした深海魚に住民たちは興味を持ち、江戸時代からさまざまな記録を残しており、それを知ってもらいたいと企画したという。

 展示では、紀州藩の本草学者・小原桃洞(とうどう)、畔田翠山(くろだすいざん)たちが残した深海魚の記録、明治から昭和にかけて活躍した宇井縫蔵(ういぬいぞう)が残した標本などを基に紀州の深海魚研究史を振り返る。そのほか、2011年に紀伊水道沖で行った深海魚調査の紹介と標本や動画、実際に使った網の展示、主に和歌山県で採取した深海魚の標本の展示など。展示点数は歴史資料等14点、深海魚標本等約150種180点。

 29日には海洋研究開発機構の佐藤孝子さん、加藤千明さんを講師に「深海ふしぎトークショー」(申し込み締め切り=15日、定員60人)、8月11日には東京大学大気海洋研究所の猿渡敏郎さんを講師にトークショー「私本提灯鮟鱇(ちょうちんあんこう)学事始」(同=7月28日、同60人)を行う。

 学芸員の揖(かじ)善継さんは「展示の目玉は、1929(昭和4)年に南方熊楠が昭和天皇にご進講した際に天覧されたラブカや、採取地の田辺が入った名前が付いた『タナベシャチブリ』など。江戸時代のスケッチと標本を比べて見られるのも珍しい」と話す。「カメラや潜水艇など技術の発達で、深海の様子やそこに住む生物の映像などが多くメディアで流れるようになり、興味を示す人も増えてきた。なかなか実物を見る機会はないので、本物を見に来てほしい」と呼び掛ける。

 開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は470円(65歳以上、高校生以下無料)。8月31日まで。

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