和歌山市の市堀川沿いの京橋駐車場(和歌山市福町)で11月5日、「第6回リノベーションスクール@Wakayama」の最終プレゼンテーションが行われた。主催は和歌山市、企画・運営は「リノベリング」(東京都)。
11月3日から3日間にわたり開いた同講座。受講者26人が、遊休不動産を活用した都市再生手法を学び、実際の空きビルを対象にグループで事業計画を作成した。最終プレゼンは一般公開し、市民も傍聴する中、不動産オーナーに計画を発表した。
受講者は3つのユニットと呼ばれるグループに分かれ、3日間で対象物件の見学、ユニットマスターの三浦丈典さん、岸本千佳さん、吉野智和さんの講座を受講し事業計画作りに臨んだ。
ユニットAは市堀川沿いにある約300平方メートルの築50年、コンクリート3階建ての「和歌山市NPO・ボランティアサロン」跡(寄合町)を担当。1階はシェア工房やテナントスペースに、2階~3階は宿泊施設にして川沿いにステージを作る案を発表した。建物全体を大きな劇場に見立て、「ものづくりを街の日常風景に溶け込ませる」構想を披露した。
ユニットBは4月に開校した「伏虎義務教育学校」近くの2階建て「卜半町(ぼくはんちょう)ビル」(卜半町)を、シングルマザーを対象とした集合住宅「まるますビレッジ」として提案した。1階を緑あふれる共有テラスに、2階を賃貸住居、屋上をプールやバーベキュースペースがある入居者の憩いの場にする案を発表した。
ユニットCは北ぶらくり丁商店街内の鉄筋コンクリート3階建ての本棟と木造の別棟から成る「塩野安(しおのやす)商会」跡を担当し、シェアハウスとゲストハウスにする案を発表した。1階にはチャレンジショップスペースを設け、別棟を出張や旅行者などの短期滞在者、本棟の2階をバックパッカーや留学生などの中期滞在者、同3階を住民や学生などの長期滞在者が交流する施設を提案した。
ユニットBのプレゼンター・佐々木雄大さんは「実際に物件を見に行くと、住んでいた人の思いが伝わり、それを受け継ぎたくなった。短期間だが3日間集中できてよかった。今後は地方で仕事をしていきたいので、今回の経験を生かしたい」と話す。
和歌山市産業まちづくり局長の有馬専至さんは「今年のリノベスクールでも期待通りの素晴らしい提案をいただいた。どれも行政では思いつかない案ばかりだった」と話す。「提案が実現して変わりゆく街の姿は見る人に勇気を与えてくれる。スクールを通して新たな街のプレーヤーが増えていけば」とも。