海南市下津町で生産される蔵出しみかんは、毎年12月に収穫した晩生みかんを木箱に入れ、木造・土壁の蔵に貯蔵して1カ月以上熟成させ、まろやかな味になる1月~3月頃に出荷されます。日本のみかんは、約1,900年前、同市下津町橘本にある「六本樹(ろっぽんじゅ)の丘」に、みかんの原種「橘(たちばな)」が植えられたことがはじまりと言われおり、みかん発祥の地で約400年前から続く、独自のみかん貯蔵・熟成システム「下津蔵出しみかんシステム」は、2019年に「日本農業遺産」に認定されています。
蔵出しみかんは、これまで年明けにも購入可能なみかんとして、各地のスーパーマーケットなどで販売されてきましたが、海南市は、2025年にオープンした道の駅海南サクアスなどでの販売やふるさと納税返礼品、「下津蔵出しみかんシステム」の認知度向上を目指し、蔵出しみかんの熟成を「冬眠」と捉えた、新しいパッケージデザインを製作しました。
ブランドみかん「有田みかん」に対抗すべく、独自の技術で進化を遂げた、海南市の名産品「蔵出しみかん」
和歌山県のみかんと言えば「有田みかん」が有名ですが、下津地域の「蔵出しみかん」は、顧客に年明けでも流通しているみかんとしてしか認識されておらず、「下津蔵出しみかんシステム」も含めた価値は十分理解されているとは言えません。「蔵出しみかん」は、皮が厚くて酸味のある晩生の品種を土壁の蔵に貯蔵して熟成させます。熟成する間に酸が消費されてまろやかな味わいになり、甘味が際立ちコクのある仕上がりになるだけでなく、一般的に出荷時期は年末までと言われてる通常のみかんの出荷時期より遅くに出荷できることから、みかんブランドとしての差別化も可能です。
「熟成」を「冬眠」と捉えたキャラクターとパッケージで、年明けの風物詩と新規顧客の獲得を狙う。
蔵出しみかんの「貯蔵・熟成」の様子を分かりやすく感じてもらうため、「冬眠」に着目。冬眠する動物「クマ」を「みかんぐま」と名づけて、白い段ボール(かまくら)とぬくもりのあるイラストでパッケージを制作しました。特設サイトでは、冬眠みかん解禁までのカウントダウンを「冬眠明けまで○日」と表現することで、毎年発売がたのしみになる、新春の風物詩を狙っています。
また、過疎化・少子高齢化による後継者不足で、みかん農家の廃業が進んでいます。市職員による援農などの様々な取組が行われている中で、蔵出しみかんシステムのPRと合わせ、道の駅やふるさと納税返礼品など、新規顧客の獲得による市場の拡大に繋がることを企図しています。