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ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト「ワカカツ」
JRから地域へ“自分ゴト”の沿線づくり、開幕宣言

2017年05月25日

紀ノ川沿いを走るJR和歌山線と沿線エリアの活性化を目指した「ワカカツ ~ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト~」が、5月25日に立ち上がった。起案者は、西日本旅客鉄道(JR西日本)和歌山支社。地域住民たちが主役となる、地方ローカル線の新たな未来に挑戦する。

沿線衰退の危機、和歌山線の厳しい現状

和歌山線は、和歌山駅から奈良県の王寺駅までの87.5キロメートルをつなぐ路線。そのうち和歌山県内に位置する駅は、和歌山駅から隅田駅まで(駅間距離46.4キロメートル)。朝夕は制服姿の学生たちが多く乗車する。

1900(明治33)年に全線開通し100年以上の歴史を誇る路線だが、利用者数は低迷。少子高齢化や県外への人口流出などに伴い、45年前と比べ乗降客数は半減(和歌山県総合交通政策課の公式データ、2015年)した。現在は、赤字経営で厳しい状況のもと、列車本数の削減やワンマン運転、駅の無人化が進んでいる。このままでは沿線エリア一帯の衰退を招きかねない。

この現状を打開しようと、JR西日本和歌山支社はこれまでもさまざまな活動を実施してきた。その中心にいるのは、入社25年目を迎える総務企画課の課長・福山和紀さん(下記の写真左)と、入社12年目の三谷陽平さん(同右)。二人が新プロジェクト「ワカカツ」の起案者だ。

「ワカカツ」始動に至った背景

これまでもJR和歌山支社は、学校・行政・民間企業や民間団体などと協働して、和歌山線の活性化に向けたさまざまなアプローチを行ってきた。今回、あえて「ワカカツ」という新プロジェクトを立ち上げるに至った狙いは、大きく分けて2つある。

一つ目は、これまで個々に独立していた各企画を「ワカカツ」という総称で結ぶことで、和歌山線とその周辺で繰り広げられるさまざまな活動を、より多くの人々に知ってもらうこと。認知度アップだけでなく、各企画の運営者が互いの活動を知ることで、新たなコラボレーションやノウハウ共有など、地域の横の繋がりを強化させることも狙いだ。

二つ目は、地域住民が主体となってアクションできる基盤をつくること。「ワカカツ」という沿線活性化に向き合う場を明確に設け、人々へ投げかけることで、誰もが“自分ゴト”として地域の未来を考え、積極的にアイデアを議論して実現させていく状態を目指す。

三谷さんは「これからの地方ローカル線のあり方を見つめる“生きた教材”として、和歌山線と沿線地域の未来を、地域の皆さまと一緒に考えていきたい」と話す。

これまでの取り組み(1)
沿線にある高校とのコラボレーション

過去の経験から得た学びの集積から誕生した「ワカカツ」。始まりは、和歌山線を担当する運転士が沿線の高校を訪れ、乗車マナー向上の話し合いをしたことだった。これをきっかけに、高校とJRとの連携の輪が広まり、行政や民間企業などとの取り組みにも展開、様々な企画が誕生した。その前身となる過去の事例をいくつか紹介する。

2015年12月には「クリスマストレイン」を開催。サンタやトナカイに扮した県立和歌山高校・総合音楽部吹奏楽班の生徒たちが、和歌山線の列車内や和歌山駅コンコースでクリスマスソングを演奏する、沿線活性化を目的にしたイベントだ。これが好評を博し、翌年12月には県立那賀高校・吹奏楽部とのコラボレーションも実現した。

2016年9月には、和歌山線沿線の9校の高校生主体で、沿線自治体と協働し「アートトレイン」を運行。臨時列車を走らせ、吹奏楽部や軽音楽部などによるリレーコンサートを行い、美術部・書道部・写真部などの作品を複数の駅構内で展示するイベントを開催した。

沿線高校との協力はイベントだけでなく、和歌山線のプロモーションムービーの制作や、マナーアップキャンペーン、駅舎ペインティングなど、多数のアプローチを実施してきた。

これまでの取り組み(2)
行政や民間企業とのコラボレーション

2016年3月と12月には、那賀振興局の提案をきっかけに、紀の川エリア観光サイクリング推進協議会とコラボレーションしたサイクルトレインを運行。

和歌山線が走る紀ノ川沿いは、サイクリストたちに愛される絶好のサイクリングロード。サイクリング前後で列車を使って移動する「輪行」のニーズはあったものの、車内に自転車を持ち込むには、安全上の問題から解体や折り畳むなどして専用の袋に収納するルールがあり、サイクリストには手間がかかる。そこで、自転車をそのまま持ち込める臨時列車の運行を実現させた。

福山さんは「前例の記録もないような状態からのスタートで、これは無理かもしれないと、かなり頭を悩ませました。そうは言っても、とにかくやってみないとはじまらない。試行錯誤の末、半年がかりでようやく実現できました。今後も、地域の人々と一緒に成功事例を積み上げて、チャレンジの幅を広げていきたいですね」と当時を振り返って話す。

2017年3月には、「紀の川フルーツ・ツーリズム」(紀の川市粉河)主催の「紀の川フルーツ体験!ぷるぷる博覧会」(略称「ぷる博」)に協賛。地元の蔵元「九重雜賀」(桃山町元)と、すし店「力寿し」(粉河)の協力を得て、日本酒とフルーツ寿司が味わえる特別列車「ぷるぷるトレイン」を運行した。

このほか沿線マップの制作や、駅軒下での野菜やフルーツの物産販売、子ども絵画展など、JR和歌山支社と各所が協働して多数の企画を実施している。

JRから地域へ。“自分ゴト”の沿線づくり

5月25日にスタートした「ワカカツ ~ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト~」。これまでの取り組みの継続はもちろん、公式ロゴ入りステッカーを用いた活動普及や駅構内でのポスター掲示、FacebookやInstagramなどSNSでの定期的な情報発信、活動の表彰などを行う。

プロジェクト名に込めた思いを三谷さんは「実は、ネーミングの初期案は、“ぼくら”ではなく“みんな”でした。沿線活性化の最大のポイントは、沿線地域の未来を一人一人が我が事として捉えて、自発的に行動することです。その思いを込めて、一人一人に焦点を当てた“ぼくら”という表現を選びました」と話す。

福山さんはこのプロジェクトの目指す姿について「将来的に“自走する”状態になることが目標ですね。私たちは和歌山線沿線エリアの活性化を願う起案者に過ぎません。いつか『ワカカツ』が公共化して、起案者が私たちですよと話したら、ビックリされる日が訪れたらいいなって、密かに願っています」と笑顔を浮かべる。

地域住民たちが主役となって“自分ゴト”として広がる和歌山線の沿線活性化プロジェクト。いつか、きのくに線(紀勢本線)の「キノカツ」や阪和線の「ハンカツ」が誕生するような、公共交通沿線の新たな未来がここから始まるかもしれない。

現在、「ワカカツ」は、企画参加者の募集およびマーク選考の投票を受付中。「ワカカツ」に興味をお持ちの方は「jrwakayamasen@gmail.com」までご連絡を。

マーク選考の投票は、「ワカカツ」のFacebookInstagram・ハガキにて、5月25日から6月12日中まで受け付けている。投票に関する詳細はFacebookにて。

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