和歌山市でケータリング事業・食料品店を経営する料理人・石井佳奈さんが12月12日、「ワンダフル・アグリカルチャー ローカル食品店を開業した料理人が農のリアルを綴(つづ)る」を人葉舎(那智勝浦町下里)から刊行した。
同書は、石井さんが取り引きする農家12組を四季で区切り、12カ月の章立てで紹介する。各農家の起こり、考え方、栽培方法や工夫、農産物への思いなどを1年かけて取材した。フォトグラファー丸山由紀さんが撮った人物や農機具、産地の様子、農産物などの写真のほか、農産物を使ったオリジナルレシピ、石井さんの幼少期から現在に至るまでの自伝エッセー、「吉村秀雄商店」(岩出市畑毛)の杜氏・藤田晶子さんとの対談を掲載する。
石井さんは滋賀県出身。管理栄養士として、京都のこども園に勤務後、大阪のケータリング会社勤務を経て、2018(平成30)年に和歌山市に移住。2018年からケータリング店「ozz kitchen(オズズキッチン)」、2022年からコーヒー焙煎(ばいせん)士の夫・聡さんと共に食料品店「フードセンターイワセ」を経営する。県内の20以上の農家と取引がある。
石井さんは「取り扱っている農産物の生産者のことをもっと知ってもらいたいと企画・出版した。暮らしの中に農業があり、それぞれ多様で目的や運営などに違いがある。買い手が農のリアルを知れば、一人ひとりの顔が見え、地域で一緒に生きていると実感でき、より一層農産物のファンになったり、身近な人から購入する安心感につながったりする。買い手と生産者、双方のコミュニケーションのきっかけになれば」と話す。「これから農業をやってみたい人のヒントにもなれば」とも。
価格は1,980円。A4サイズ、150ページ。フードセンターイワセ、宮脇書店和歌山店(和歌山市広瀬中ノ丁)、本町文化堂(本町3)、WAY書店オークワ本社店(北中島1)、天然温泉ゆのさと(橋本市神野々)、イロドリ(那智勝浦町天満)など17店で販売する。