「雛祭（ひなまつり）神事」が桃の節句の3月3日、淡嶋神社（和歌山市加太）で行われた。

和歌山市加太の淡嶋神社本殿に並ぶひな人形

　同神社は全国に約1000社あるとされる淡嶋神社の総本社。人形供養行事で知られ、全国各地からひな人形が送られてくる。全国の流しびなが同神社に行き着き、神々の国に旅立つとされる。同神事は、紀州徳川家が姫の初節句に一対のひな人形を奉納した慣習が発祥という。

　当日は、約5000体の女びなと男びなが並べられた本殿で「雛納祭（ひなおさめまつり）」が行われ、神職が清めのおはらいや祝詞奏上を行った。願い事が書かれた形代と約200体のひな人形をみこが2そうの白木の舟に乗せ、女性参拝者が舟を担いで運ぶ「雛舟の渡御」を行った。舟を約1キロ離れた海岸に運び、海に流す「雛流し祭」は悪天候のため延期した。

　オーストラリアから家族で訪れた女性は「ひな祭りの行事があると聞いて見に来た。妹が妊娠中なので安産を祈願した」と話す。

　宮司の前田智子さんは「雛流し祭ができなかったのは初めてのことだが、皆さんから預かった大切な人形は必ず流して供養する」と話す。「疫病もまだはやっているほか、山火事や海外での戦争などさまざまな惨事が起こっている。皆さんの願いがかなうとともに、一日でも早く平和な日が訪れるように祈願した」とも。