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和歌山・生石高原で「茅刈りレスキュー」 かやは重要文化財のふき替えに

刈ったかやの縛り方の指導を受ける参加者ら

刈ったかやの縛り方の指導を受ける参加者ら

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 ススキを刈ってかやぶき屋根用の材としての活用を目指すイベント「茅刈りレスキュー」が12月7日、生石高原で開催された。主催は一般社団法人しろにし(有田川町二川)。

刈られたかやとかやを運ぶ参加者

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 国の重要文化財で1514年建立の雨錫寺阿弥陀堂(杉野原)でかやぶき屋根をふき替えるために大量のかやが必要となり、同企画で参加者を募った。かやはススキを含む屋根をふく草の総称。当日は、地域住民や県内外からの一般参加者に加え、企業や社会人スポーツチームなどからも参加があり、総勢100人を超える人が集まった。

 「山城茅葺(かやぶき)」(京都府)社長でかやぶき職人の山田雅史さんたちが参加者に刈り方や結び方を教えた。その後約6時間かけ、鎌でススキを刈り、直径20センチほどの束にまとめていった。

 かやは目標500束を超える516束ができた。今後、一定期間屋内で乾燥させ、来年秋に屋根のふき替えに使われる。山田さんは「これまでかや刈りワークショップを何度もやってきたが、参加者数も束数も過去最高だった」と話す。

 大阪府から参加した20代女性は「私たちが刈ったかやが文化財に使われると聞き、体験したくなった。かや刈りは大変だったが、途中から楽しくなってきて、参加して良かった。観光地で普段できない体験ができた」と笑顔を見せる。

 しろにし代表理事の楠部睦美さんは「過去に開催した『ぶどう山椒(さんしょう)収穫レスキュー』は県外からの参加者が多かったが、今回は雨錫寺阿弥陀堂を知っている地元の人や生石高原を知っている県内の人を中心に参加があった。予想以上の反響があり驚いている」と話す。「文化財は普段、遠くから見るだけの存在だが、自分たちの手で刈ったかやが来年、文化財の一部になる。生石高原のススキも手入れしないと景観を保てない。レスキューイベントを通じて、日頃関わることのない世界に関わるきっかけをつくっていきたい」とも。

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