和歌山・海南市内の134カ所で現在、「紀州海南ひなめぐり」が開催されている。
桃の花で作られたハートが隠されている、海南駅構内の「千体雛」
2011年から始まった同企画は今年で5回目。JR海南駅や海南駅前商店街、「漆器の町」として知られる黒江・川端通りをメーン会場に、今年は下津町まで展示エリアが広がった。飾られたひな人形は全会場で計4000体以上。市民からの寄付や淡嶋神社(和歌山市加太)からの貸し出しで集めた。
海南市は漆塗りの「紀州雛」が特産のひとつ。5世紀ごろ、仁徳天皇の命によって紀州で作られたのが起源と言われる。現在も漆塗りや蒔絵(まきえ)などの伝統的な技法を用いて製造されており、会期中は黒江うるわし館(船尾)で見ることができる。
駅前一番街の「ひなみ館一号館」では、江戸時代の「享保びな」を展示。約180年前に作られた同人形は、地元出身の女性が「役立ててほしい」と寄贈したもの。紀州海南ひなめぐり実行委員会が今年1月、カンボジアへ向けてひな人形を贈ったのを知ったことがきっかけという。
同実行委員長の東美智さんは「商店の店頭に飾られた人形はユーモアがあるので注目してほしい。メガネ屋さんならメガネをかけていたり、薬局で湿布を貼られていたり」と笑う。「観光地や神社にも展示しているので、普段と違う雰囲気を楽しんでもらいたい」とも。
今年は県外からツアーでの来訪も目立ち、例年に比べて人出が多いという。今年から参加した下津エリアの会場は、車での来場を想定して駐車場を確保。実行委員の男性は「ドライブの合間に立ち寄るなら、下津の『旧大崎小学校』など海が見える会場がおすすめ」と話す。
JR海南駅構内に飾られた幅8メートルにもおよぶ「千体雛(せんたいびな)」の前で記念撮影していた同市在住の親子は「街が華やかになるので、ひなめぐりの始まりを楽しみにしている。毎年この場所で娘の写真を撮っている」と笑顔を見せる。
会期中はひな人形の展示のほか、スタンプラリーや絵手紙体験、小さく切ったスポンジを貼り付けて大きな絵を完成させるスポンジアートなどのイベントも開く。
3月15日まで。