和歌山・有田川町の「きびドーム」(有田郡有田川町下津野)で7月21日、まちづくりをテーマにしたフォーラム「有田川という未来 vol.1」が開かれ、定員の300人を上回る350人が集まった。主催は有田川町。
同町は和歌山県のほぼ中央に位置し、2006年に吉備町、金屋町、清水町が合併して誕生した。人口は約2万7000人。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、2040年には約8000人が減少し、働き手1人が高齢者約1人を支える構造になると予測されている。
同フォーラムは20~40歳の若手中心で進める特別プロジェクト「地方創生有田川2040」の一環で、「暮らして楽しい街」をキーワードに掲げる。民間主導で自然と共存するまちづくりの成功事例として、米・オレゴン州ポートランド市に着目。その上で、ポートランド市開発局の山崎満広さんとエイミー・ネギー(Amy Nagy)さんの2人を招き、2日間かけて吉備地区を視察。ワークショップ形式で同町のまちづくりについて地元住民と意見を交わし、今回のフォーラム開催に臨んだという。
開会のあいさつで中山正隆町長は、国の「地方創生」の動きに触れながら「有田川町はポートランドのまちづくりを参考に、総合戦略を策定する。人口60万人の都市とは違いもあるが、『全米で最も住みたい街』といわれるポートランドに学びたい」と意気込みを語った。
山崎さんは「ポートランドは1970年、どん底だった」と話す。その要因として、人口減少とモータリゼーション(自動車の大衆化現象)による中心部の空洞化、ウィラメット川の水質の悪化などを挙げた。さらに、トム・マコール州知事とニール・ゴールドシュミット市長を紹介し、住民とともに農地や自然を大切にする政策を説明。「大切なことは、住民が何を未来につなぎたいかを考え、共に行動することだ」と熱弁を振るった。
フォーラムの終盤では、今回の視察とワークショップの成果を発表。旧有田川鉄道の線路にある歩行者と自転車の専用道に着目し、この街道沿いに20~40代の女性が住みやすい街づくりを提案した。エイミーさんは「働く若い女性と子育て中の母親にフォーカスした。この町の弱点は複合施設が少ないところ。もっと気軽にコミュニケーションを取れる公園やカフェ、バーなどの場が必要だ」と意見を述べた。