和歌山城近くのブックカフェ「本屋プラグ」(和歌山市万町)で12月17日、トークイベント「毎日新聞vs和歌山経済新聞 2017年和歌山のニュース10番勝負」が開催された。主催は「Loocal(ルーカル)」(同)。
読者と編集部員が交流を図る「和歌経文化センター」第4弾イベント。この日は21人が参加した。
ゲストスピーカーは、和歌経と11月から業務提携を始めた毎日新聞和歌山支局長の麻生幸次郎さん。平野隆則和歌経編集長と共に、それぞれの新聞から選んだ、今年の和歌山のニュースベスト10を紹介した。
毎日新聞和歌山支局が選んだ記事は、1月に起こった「東燃ゼネラル石油和歌山工場」火災をはじめ、智弁和歌山高校野球部、箕島球友会、和歌山大学硬式野球部などの活躍を伝えるニュースや、南高梅の盗難事件など。1位には「台風21号被害」、2位には和歌山県の人口が95万人を割った話題が選ばれ、参加者から共感や納得の声が上がった。
和歌経編集部が選んだランキングには、3Dプリンター製の身代わり仏像、個性豊かな個人商店、インパクトのある写真が編集部で話題になった動物園の催し、コミュニティーFMの人工知能導入などがランクインした。1位の「店全体が傾いたラーメン店『まる豊』移転」、2位の南海和歌山市駅周辺再開発に関連する「1年10カ月ぶりにコンビニ復活」のニュースを発表すると会場は驚きと笑いに包まれた。
イベント後半は「これからの新聞・ローカルニュース」をテーマに、会場からの質疑応答を交えながらトークを展開した。
麻生さんは「新聞に限らず、紙媒体を読む人が減っている。新聞は購読者が減ると記者も少なくなり、ニーズはありながらも地域ニュースを扱うことが難しくなってくる。今回の和歌山経済新聞とのコラボはうれしい話」と話す。「和歌山には県紙がないので、南海トラフ地震など大きな災害があった時に、県民が本当に必要な情報をどこまで伝えられるかが課題」とも。
「見せ方やコンテンツの出し方にはいろいろあるが、情報は人間の生活には不可欠な物。多くの人が情報を発信できる時代に、新聞記者が情報発信のプロとして、社会や政治などの話題をただ伝えるだけでなく、どんな付加価値をつけて何を書くのかが問われている」と麻生さん。
参加した30代男性は「麻生さんの、主張を同じくする人たち向けの読み物ではなく、異論が同居する議論の場を作るという話は、新聞だけに限らず日常の中にでもある話でとても共感した」と話す。「大手新聞のような論争が読める新聞も必要だが、和歌経のように地域のほっこりしたニュースも必要だというのがよく分かった。どんなことがあれば和歌経のランキング1位になるのかな、と考えながら過ごすと楽しい一年が過ごせそう」とも。