和歌山市で3月中旬、意思疎通支援ツール「MYコミュニケーションカード」の配布が始まった。
2016年4月に施行された和歌山市障害者差別解消推進条例の意思疎通支援施策の一環。自閉症、知的障がい者、聴覚障がい者、精神障がい者など、自分の意思を相手に伝えづらい人向けのコミュニケーションツールとして、「和歌山市障害児父母の会」「和歌山県中途失聴・難聴者協会」「和歌山県自閉症協会和歌山市分会」など7団体と協議を重ねて製作した。
これまでは県がA4サイズのコミュニケーションボードを配布し、窓口や店舗、医療施設などで使用してきた。個人が携帯して使えるコミュニケーションカードの配布は県内で初めて。
イラストと日本語、英語、韓国語、中国語が描かれた40種のカードをクリアファイルに収め、バインダーで携帯できる。利用者は「痛い」「熱がある」などイラストを指さして意思を伝える。具合は「少し」から「すごく」の目盛りを指さして度合いを示せる。ホワイトボードと50音表のページがあり、筆記や指さしに使える。カテゴリー別に仕分けができ、書き足すこともできるほか、カードはバインダーから取り外して、ニーズに合わせて入れ替えができる。
障害者支援課の内田裕月さんは「子どもにも分かりやすいシンプルなイラストにした。自閉症や知的障がいのある子どもが気持ちを伝えるのが難しいと、子どものために取りに来られる親御さんが多い」と話す。
障害者支援課の窓口では110冊配布。そのほか特別支援学級がある各小学校に約50冊ずつ配布し、授業で使ってもらえるように要請した。県立支援学校へ見本配布し、福祉サービスを提供する指定事業所159カ所には3部ずつ配布し、職員が訪問などの際に活用できるようにした。今後は南海大震災などの災害時に備え、52カ所ある福祉避難所にも配布するという。
同課の大久保政洋さんは「全国的にも珍しい取り組みで市外からも問い合わせがある。個人によって必要となるカードが違うので利用しやすいように5月には320種類のイラストを追加し、窓口で配布を始める。どんどん使っていただくことで、自分に必要なカードが分かってくる。ご家族など周りの方に手伝ってもらい、必要なカードを選んで自分用にカスタマイズして生活に役立ててほしい」と呼び掛ける。
配布窓口は市役所東庁舎1階障害者支援課と保健所保健対策課。無料だが申請書の記入が必要。