「第7回リノベーションスクール@和歌山」の最終プレゼンテーションが10月28日、和歌山市立伏虎義務教育学校で行われた。主催は和歌山市とJR西日本和歌山支社、企画・運営は「リノベリング」(東京都)。
10月26日から3日間に渡り、実際の物件を対象に遊休不動産の活用を学ぶ同スクール。今回は主催にJR西日本和歌山支社が加わり、紀伊中ノ島駅前の社宅を対象物件にした。
受講者24人が「ユニット」と呼ばれるグループに分かれ、4つの対象物件の事業計画を作成し不動産オーナーの前で公開プレゼンテーションを行った。最終プレゼンは市民にも公開され、YouTubeで配信した。
ユニットAは南海和歌山市駅近くの築38年、鉄骨造3階建ての「坂田布団店住宅」(元博労町)を担当。同エリアに、伏虎義務教育学校があることから、子どもが多く行き交い水辺を活用した職業体験ができるエリアにする案を発表した。1階を建築士会館にオープン予定のチョコレート店「スマイル・チョコレート」のカフェとSUP(スタンド・アップ・パドル)体験・グッズ販売、2階を事務所兼民泊、3階をストックヤード兼住宅にする構想を披露した。
ユニットBは伏虎義務教育学校近くの北棟と南棟から成る「旧有喜(ありき)本店」跡を担当し、和歌山発祥の合成繊維染色料を使った事業を提案。染め直しの工程を見せる展示スペースと、自分で好きな色に染め直すことができる工房、地下の旧食堂部分をダイニングバーにする案を発表した。
ユニットCは北ぶらくり丁内の築60年、木造2階建ての「旧地球屋跡」を、1階をコーヒースタンド、2階を学生専用のシェアハウスにする案を発表した。同物件近くに開校する大学に通う学生をターゲットに、地域に開いたコーヒースタンドで学生がアルバイトし、商店街と接点を持つ仕組みを提案した。
ユニットDは「JR西日本紀伊中ノ島社宅」を、子どもたちが走って遊ぶことができる公園「nakanoshima Central Park」にする案を発表。社宅部分はDIYできる賃貸住宅とし、そのほか2坪のチャレンジショップや保育園・シェアキッチン・総菜店が入る木造平屋の施設を造る。
「旧有喜本店」のオーナー・土井きょうこさんは「物件を見てもらい、どんな提案になるのか楽しみにしていた。まちのことを詳しく聞いてもらったのでそれを生かして何かにつなげていってもらえたら」と話す。
スクールマスターの嶋田洋平さんは「まちづくりはハードからソフト面へ、コンテンツ作りになっている。和歌山のまちなかの新しい住み方や働き方、暮らし方を作ることで、産業が生まれる」と話す。「JR西日本や南海電鉄と協力することで、まちなかエリアだけでなく各沿線周辺エリアにまでリノベーションまちづくりが波及してきた全国でも珍しい例。今後はまちなかと周辺エリアをつなぎ、和歌山のイメージを打ち出していってほしい」とも。
同プレゼンテーションはユーチューブで発信も行う。