特別展「大集合!はたらくナマコのワンダーランド」が現在、和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL073-483-1777)で開催されている。
館内レクチャールーム中央の水槽で世界最大種のナマコ「クレナイオオイカリナマコ」を本州初展示する。上部に設置したサンゴ礁の水槽の水を循環させ、クレナイオオイカリナマコが水を浄化する様子を観察できる。9つの水槽に約20種のナマコを生態展示するほか、液浸標本20点、顕微鏡で見たナマコ類の骨片3点の映像をモニターに映す。日本でよく見られる「ニセクロナマコ」「トラフナマコ」「フジナマコ」の3種に触ることができるタッチコーナーを設置する(新型コロナウイルス対策のため土曜・日曜・祝日は閉鎖)。7月18日の公開から27日までに約6000人が訪れた。
同館によると、ナマコは世界に1300~1400種いるとされ、生物の死骸などを食べ砂を循環させヘドロ化を防ぐ、サンゴ礁をはじめとする海中環境を保全する生物。海岸線が起伏に富み、浅深がある和歌山の海にはたくさんのナマコが生息している。日本には研究者が少なく、生態には未解明な点も多いという。
学芸員の山名裕介さんは「ナマコは狭い所が好きで、スベスベとした触感など、ネコに似たかわいさを感じる。ナマコを触った子どもたちはとりこになっているので、この展示を通じてナマコ好きが増えてほしい」と話す。「変わった生物だが、私たちの生活にも関係がある。自然の中でさまざまな生物が支え合って生きていることに思いをはせてほしい。ナマコが海洋プラスチックなどの環境問題を考えるきっかけになれば」とも。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は、大人=480円、高校生以下・65歳以上・障がい者=無料。8月30日まで。新型コロナウイルス感染防止のため、混雑時は入場制限を行う。