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和歌山で市民団体「紀伊万葉ネットワーク」が講座 万葉集をひもとき交流

万葉歌について活発に意見交換する参加者

万葉歌について活発に意見交換する参加者

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 万葉歌を学ぶ講座「万葉玉手箱」が6月19日、和歌山市南コミュニティーセンター(和歌山市紀三井寺)で開催された。主催は市民団体「紀伊万葉ネットワーク」。

近畿大学名誉教授で会長の村瀬憲夫さん

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 同団体は、2005年(平成17年)に設立。万葉集には和歌山県内で詠まれた歌が約100首あることから、万葉歌を楽しみ、地域に生かす活動に従事する個人・団体が参加する。同団体はその橋渡しをし、万葉の文化と風土を親しみ、まちおこしや次世代継承を目的にする。万葉ゆかりの地を巡る「紀伊万葉ウォーク」や中学生高校生対象に「バレンタインに送る短歌」の募集などに取り組む。年2回開催する万葉玉手箱は今回で18回目。

 当日は、開会のあいさつとして、会長で近畿大学名誉教授の村瀬憲夫さんが紀伊万葉歌を紹介。724年に聖武天皇が紀伊国へ行幸の際、和歌浦・玉津島で歌人・山部赤人が詠んだ歌を紹介し、第一反歌の「沖つ島荒磯」を想像できる場所が発見されたことや明光浦と和歌浦の関係などに触れ、「和歌浦にまつわるホットな話題は尽きない」と話す。

 会員の発表では、東道さんと宇治田健志さんの2人が登壇した。東さんは「万葉集に秘められた古代アジアの祭礼様式」をテーマに発表。柿本人麻呂の歌から韓国の伝統的な祭礼が見て取れること、聖武天皇が即位の年に和歌浦に行幸したのは秦の始皇帝の影響ではないかなど、持論を展開し、「万葉集からアジアの祭礼への影響が読みとれる」と話した。宇治田さんの発表は「山部赤人『玉津島讃歌』の新しさ」がテーマ。「山部赤人は天皇の治める世を褒めたたえる歌に、自然の情景を歌い、安定した世を表現した。それは聖武天皇が『玉津島山』の景観を『神』にまで格上げしたからできたことだが、それまでになかった表現方法のスケールを広げた歌人だ」と話す。

 質疑応答では、参加者から質問や意見が寄せられ、発表者と活発な議論が交わされた。

 初めて参加した40代の男性は「和歌浦が万葉集に詠まれたことは知っていたが、掘り下げて研究する人がたくさんいることにロマンを感じた。和歌浦を眺める時に、昔の情景を思い浮かべ、これまでとは違う見方ができそう」と話す。

 同団体は、8月29日に和歌山城公園内の万葉植物を探し、その植物が詠まれた歌を鑑賞する「お城で万葉植物講座」、10月31日に古代衣装を着て、和歌浦を散策し、万葉歌を詠む催しを開催する。

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