江戸時代の古道「龍神街道」の道普請が11月13日、有田川町の遠井区で行われた。
龍神街道は江戸時代に紀州徳川家の歴代藩主が和歌山から龍神温泉まで湯治に通った道。和歌山城から日前宮、伊太祁曽神社(以上、和歌山市)、野上八幡宮、神野市場(以上、紀美野町)、道普請が行われた遠井辻、清水、下湯川(以上、有田川町)、城ヶ森山を越えて龍神温泉(田辺市)に至る。
当日は、地元の有志ほか大阪や和歌山市などから合わせて10人が集まり、道に積もった落ち葉や通行の妨げになる枝の伐採を行った。昼食は羽釜で炊いた新米のおにぎりや茶を使った汁物「茶汁」を食べ、伝説や昔話を語り部から聞き、盛り上がった。
和歌山市から参加した30代男性は「自宅の前を通る『龍神街道』を道普請すると知り、在住地域とのつながりや物語を知りたくなり、参加した」と話す。「遠井には紀州徳川家や弘法大師空海の伝説がたくさん残っていて驚いた。教科書では学べない歴史や文化に触れられたという特別感があり、知人にも伝えたい。ガイドが、うれしそうに言い伝えなどを語っていたのが印象的で、もっと遠井ストーリーを聞いてみたい」とも。
発起人で同地区出身の白藤勝俊さんは「予想以上に大勢が集まり、昔の道を歩いたり、石碑を起こしたりと楽しんでくれてよかった。羽釜にも子どもたちが興味を持ってくれた。イベントをきっかけに遠井地区に関心を持ってもらえれば」と話す。