しょうゆをテーマにした日本食レストラン「PAVILLON YUASA(湯浅のはなれ)」が3月29日、フランス・ボルドーにオープンした。経営は「湯浅醤油」(有田郡湯浅町)。
レストランは市内中心地にあり、席数は約30席。ボルドー在住の日本人シェフ・山野純一さんが、しょうゆとフランス食材を使ったすしや和食を提供する。一部のメニューには、同社がフランスで仕込んだしょうゆを使用する。同社によれば、しょうゆのもろみに漬け込んだ肉や本格的なすしなどの料理が好評を得ているという。
同社社長でしょうゆ職人の新古敏朗さんが、2014(平成26)年にボルドーのワイナリーを訪れ、ボルドーワインとしょうゆの醸造に類似点を感じたことがきっかけ。帰国した新古さんは、ワインのたるを輸入し、試作を重ねた。現地のワイナリー「シャトー・クーテット」と協業し、今年3月からしょうゆ造りを始めた。シャトー・クーテットのたるや発酵技術を生かす。原料は、フランスのBIO認証(有機認証)を受けた大豆と小麦、塩のみ。
新古さんは「しょうゆと赤ワインたるの風味が混じり合う面白さに加え、シャトーやレストラン関係者の『コロナ禍にあってこそ、新しく夢をもって仕事をしたい』という熱意が追い風になった」と話す。「フランスやベルギーなど美食の国で認められ、発祥の地・湯浅のしょうゆの評価が上がることを期待している」とも。
「こうじ菌もBIO認定を申請している。次回の仕込みから、フランスで生まれたこうじ菌を使い、純フランス産のBIOしょうゆを造る。シャトーのブドウ畑の下には年間を通じて14度前後を保つ昔の石切場があるので、そこでたるに入れたしょうゆをワインのように熟成させビンテージを造りたい。しょうゆができれば、みりんやみそ、酒なども造れる。日本とフランスのハイブリッドな発酵文化の発信地となれば」と意気込む。