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「下津蔵出しみかん」の蔵入れが最盛期 年明けから出荷へ

海南市下津地域で温州ミカンの蔵入れ作業に従事する「藤原農園」の(左から)藤原さんと塚田さん

海南市下津地域で温州ミカンの蔵入れ作業に従事する「藤原農園」の(左から)藤原さんと塚田さん

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 「下津蔵出しみかん」の蔵入れ作業が現在、藤原農園(海南市下津町小畑)で最盛期を迎えている。

海南市下津の「藤原農園」のミカン貯蔵蔵

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 蔵出しミカンは、11月から12月にかけて収穫した晩生品種の温州ミカンを木造土壁の蔵で貯蔵し、西日本で温州ミカンの旬が過ぎる1月から出荷する。温度5~8度、湿度85パーセント程度で1~3カ月貯蔵することで酸味と水分が抜け、まろやかな食味とプリッとした食感になるという。

 同農園では、ミカンを貯蔵前に乾燥させる作業「予措(よそ)」を1~2週間行う。ミカンを風通しのいい場所に保管し、乾燥させることで果実の蒸散作用と土壁の保温・調湿効果だけで、蔵内がミカンの貯蔵に適した温度と湿度になるという。

 同農園によれば、11月から年末にかけて出回る「有田みかん」などの産地に比べ、下津地域は北向きの畑が多く、ミカンに酸味が残りやすい反面、貯蔵に適しているという。蔵で貯蔵することで、酸をまろやかにし、他産地のミカンの出荷が終わった時期に出すための知恵として生まれた。約400年前から続くという技術は「下津蔵出しみかんシステム」として日本農業遺産に認定されている。

 同農園の藤原良太さんは「温州ミカンは年末までというイメージがあるが、年明けにも手でむいて気軽に食べられる蔵出しミカンをぜひ味わってほしい」と話す。「畑に蔵がある下津のミカン畑の風景を守り、文化をつないでいきたい」とも。

 同農園のミカンは1月初旬から出荷。順次、道の駅「海南サクアス」や「JAながみねとれたて広場」などの産直市場、通販サイトなどのほか、東京や大阪のスーパーマーケットなどで販売する。

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