和歌山の市街地、ぶらくり丁近くのWajima本町ビル(和歌山市本町)で11月2日、「第2回リノベーションスクール@Wakayama」の最終公開プレゼンテーションが行われ、33人の受講生がリノベーションプランを発表した。聴講者数は約130人。立ち見が出るほどの盛況となった。
同スクールは、ワークショップ形式で実在する空き物件の活用を考えるプログラム。今年2月に第1回が開催され、今回で2回目。
講師は、アフタヌーンソサエティ社長で建築・都市・地域再生プロデューサーの清水義次さん、九州工業大学大学院准教授で「リノベーションスクール@北九州代表」の徳田光弘さん、クリエイティブディレクターでレイデックス社長の明石卓巳さん、らいおん建築事務所社長の嶋田洋平さん、ツクルバ代表の中村真広さん、スピークの建築家・宮部浩幸さんの6人。参加者は4つのユニットと呼ばれるグループに分かれ、対象物件の見学や講師陣によるライブアクト(勉強会)など3日間に渡るプログラムを完了し、不動産オーナーや集まった市民に事業計画を発表した。
ユニットAはぶらくり丁内の元呉服屋「えり弥(本町1)」を基点にアーケード下にソファを置き商店街全体をフードコートにする構想を示した。Bはニューリチャードビル(万町)3階で趣味を通じてコミュニティーを作る大人の部活動スペースを、Cはユタカビル(新通5)をゲストハウスとシェアハウスの複合型施設を、Dは和歌山城近くのSYビル(六番丁)3フロアを20~30代をメーンターゲットとしたシェアオフィスにする案をそれぞれ披露した。
対象物件となったニューリチャードビルのオーナー、川崎博史(ひろふみ)さんは「今年開催されたリノベーション講演会で、初めてリノベという言葉を知り共感して参加を決めた。20~30代の力の大きさを感じると同時に、これだけの人が集まって地域再生に興味を持っていることがうれしい」と話す。「この取り組みが街中に広がれば、和歌山はきっと変わる」とも。
同じく対象物件のユタカビルのオーナーで、受講者として参加した豊田英三(とよだひでぞう)さんは「和歌山に帰ってきてから街をよくしようと活動を続けてきた。清水先生の講演動画を見て、『この方法なら街は変わる』と思った」と参加を決めた経緯を話す。「1つの物件だけがもうかるかという短絡的な視点ではなく、街の100年後を考えて不動産の運営を考えていきたい」と熱く語る。
この最終プレゼンの様子は「YouTube」にアップロードされ、公開から2日で400回以上再生された。
今年2月に開催された第1回の最終プレゼンには、前市長の大橋建一さんも参加したが、今回は代理で副市長の荒竹宏之さんが出席。参加者に修了証書を授与し、閉幕した。