和歌山市が7月19日、和歌山城公園動物園(和歌山市一番丁)のツキノワグマ「ベニー」が死んだと発表した。
立ち上がれるようになり寝室内を歩き回るベニー(2023年12月25日撮影)
同市によると、飼育員が18日午前の餌やりの際には立ち上がり、完食したが、14時30分ごろ再び餌やりのためクマ舎に入ったところ、横たわり死んでいたという。同園では現在、死因を調査している。同市は、7月20日~8月25日、クマ舎前に献花台を設置し、花と手紙を受け付ける。
ベニーは京都市動物園で生まれ、1994(平成6)年、和歌山城公園動物園に来園した推定31歳の雌のツキノワグマ。2015(平成27)年に行われた「第1回動物園長選挙」で総投票数719票のうち263票を獲得して同園初の「動物の園長」に選ばれ、園のPRなどに活躍した。2022年11月、加齢による変形性脊椎症の影響で立ち上がれなくなり、腰を引きずって歩くようになったため、同園は飼育展示を休止。2023年12月には痛み止めの投薬治療などで歩けるまで回復していた。
同園では1972(昭和47)年にクマの飼育を始め、ベニーはアメリカクロクマ、初代ツキノワグマに続く3代目。動物園のクマは寒い地方でも通年展示が一般的だが、同園では歴代のクマを冬眠させており、ベニーも毎年気温が下がる12月から3月下旬まで冬眠させていた。ベニーの冬眠入りと冬眠明けは和歌山市の風物詩となっていた。
和歌山城整備企画課の柳雄介さんは「ベニーは30年以上動物園で過ごし、世代を超えてたくさんの市民に愛されてきた。職員もショックを受けている。最後にベニーをしのんでもらえたら」と話す。