観光列車「めでたいでんしゃ」の新車両の運行が7月13日、南海電鉄加太線で始まった。
実物大の「ワカヤマソウリュウ」を描いた「太古の記憶エリア」車両
同列車は2014(平成26)年に始まった「加太さかな線プロジェクト」の一環。魚に見立てたうろこ柄の外装の車両は、それぞれに異なる外装色で、家族という設定で名前が付けられ、これまで4車両が運行している。それぞれ、ピンクの「さち」、水色の「かい」、さちとかいの娘で赤の「なな」、さちの兄で黒の「かしら」。5車両目は、遠い祖先で虹色の「かなた」。
新車両は、「太古の時代と未来をつなぐ」がコンセプト。加太方面の車両は「未来への想(おも)いエリア」として、加太の自然や夕焼けをイメージした座席シート、森林を守るために植樹するアジサイ、和歌山のレッドデータブックに掲載されるウミネコ、加太の廃材などを使ったアート作品などの装飾で車内を彩る。和歌山市方面の車両は「太古の記憶エリア」として、オウムガイや古代生物柄の座席シート、絶滅したサメ「メガロドン」を描いたロールスクリーン、有田川町で発見された「ワカヤマソウリュウ」の全身図と化石図などの装飾を施す。
当日は「運行開始お祝いセレモニー」として、和歌山市駅と終点の加太駅で「出発式」と「お出迎え式」が行われた。出発式には本田雅彦和歌山市産業交流局長、和歌山県立自然博物館の小原正顕学芸課長が参列し、名前の発表や記念ヘッドマークの贈呈を行った。市駅のホームには約500人が集まり、第1便には300人ほどが乗車した。
泉南市から母親ときょうだいと訪れた男子小学生は「色も名前もかわいい。かなたに乗って加太に行ってみたい」と笑顔を見せた。
企画を担当した南海電鉄の岸上俊さんは「これまでの『めでたいでんしゃ』を総括する虹色の外装と車両ごとに異なる内装が見どころ。太古の車両に実物大で描いたワカヤマソウリュウは迫力がある」と話す。「めでたいでんしゃが5匹になり、加太線を走るほぼ全ての列車がめでたいでんしゃになる。めでたいでんしゃで加太の魅力を全国に発信したい」と意気込む。
列車の運行ダイヤはウェブサイトで公開する。